佐世保の車上狙い防止に貢献 「セーフティパトロール隊」解散 置き去りの赤ちゃん救出も

解散式で感謝状を受け取った「セーフティパトロール隊」のメンバーら=佐世保署

 多発する車上狙いなどを防止しようと、地域住民がボランティアで長崎県佐世保市内の駐車場などを見回る「セーフティパトロール隊」が3月、解散した。結成から20年。その間には、車内に赤ちゃんが置き去りにされているのを見つけ、救出したこともあった。長年の活動のかいあり、結成当時に比べ車上狙いは10分の1以下に減少した。

■大幅に減少
 パトロール隊は佐世保署の呼びかけで2003年5月、街頭犯罪が多発していた市内3交番の管内に結成した。現在は宮田、京町、日宇の3地区で隊員数は21人。70代以上の高齢者が多いという。
 公園や駅、大型駐車場などを徒歩で巡回。車内に財布を置いていたり、窓を開けたり、ドアが施錠されていなかったりする車を見かけると、注意を促す紙を窓に貼るなどして啓発してきた。
 同署によると、結成した03年は乗り物盗が219件、車上狙いが146件だったのが、22年は乗り物盗33件、車上狙い12件と大幅に減少。当初の目的をほぼ達成し、節目に合わせ解散することになった。

通学路を見回るセーフティパトロール隊の隊員ら=2017年4月27日、佐世保市

■親の姿なく
 結成当初から在籍している宮田地区隊長の左村博志さん(85)=比良町=は、車内に置き去りにされた赤ちゃんを見つけたことがある。土曜日の午後、病院の駐車場の見回りをしていると、赤ちゃんの泣き声が聞こえた。声の方へ進むと、乗用車の中に生後5~6カ月くらいの赤ちゃんがいた。屋根付きの駐車場で、窓ガラスが10センチほど開いていたが、車内の気温は上がり、赤ちゃんは「汗ぐっしょり」。周囲に親の姿はなかった。
 「命を助けようと必死だった」と左村さん。窓を押し下げ、鍵を開けて、無事赤ちゃんを救出した。病院に駆け込み、関係者に託して次の巡回に進んだ。「見つけられて良かった。泣き声が聞こえなかったら分からなかった」

■知識や経験
 今月2日に佐世保署で感謝状贈呈式があり、3地区のパトロール隊から8人が出席。荒木秀署長が感謝状を手渡し「培ってきた知識や経験は防犯活動にとってかけがえのないもの。引き続き啓発への協力をお願いしたい」と激励した。左村さんは「確認のため車の中を覗いたり、ドアノブを触ったりして文句を言われたこともあった」と苦労を振り返りながら「20年終えてほっとしている。これまでの仲間に感謝」と目を細めた。

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