過酷なコースで新時代がいよいよスタート。不確定要素も多数【スケジュール&基本情報/WEC第1戦セブリング】

 WEC世界耐久選手権が、アメリカ・フロリダ州のセブリング・インターナショナル・レースウェイで2023シーズンの開幕を迎える。今季は最高峰ハイパーカークラスにキャデラック、フェラーリ、ポルシェら新たなマニュファクチャラーが参戦。既存のトヨタ、プジョーらとの総合優勝をめぐる戦いが実現するが、セブリングはこの“新時代の幕開け”として大きな注目が集まる一戦だ。

 これまでと同様、今回のレースもIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権第2戦『セブリング12時間レース』との併催イベントとなり、WECの決勝が金曜日に、IMSAの決勝が土曜日に行われるスケジュールとなる。

 このため、ホームストレートに並行するメインのピットレーンはIMSAが使用し、WECのピットはターン16と17に挟まれたバックストレッチ『ウルマンストレート』沿いに位置する。サーキットは以前の米軍飛行場跡地に位置しており、アスファルトとコンクリート路面が混在、バンピーであることから、マシン、ドライバーへの負担が大きいことで知られる。

セブリングでWECデビューを迎えるキャデラックVシリーズ.R

 シーズン幕開けの舞台がこの過酷なサーキット、さらにレース距離も1000マイル(または8時間)と長丁場となり、多くの不確定要素をはらんでいると言える。さらに今季からはタイヤウォーマーの使用が禁止されたことで、タイヤ交換直後のドライビングが非常に難しいものとなっているため、昨年までとは異なる光景も見られそうだ。

 このレースにはハイパーカークラスに11台、LMP2クラスに12台、LMGTEアマクラスに14台と、計37台の車両がエントリー。開幕前週となる3月11〜12日には公式テスト『プロローグ』がこのセブリングで行われ、トヨタGAZOO Racingの7号車GR010ハイブリッドが総合トップタイムをマークしているが、とくに新型車両の真のポテンシャルは、開幕戦で初めて露わとなるだろう。

 サーキットの基本データや水曜日から始まるレースウイークのタイムスケジュール、TV放送予定、最新エントリーリストなどは以下のとおり。今年は予選方式が変更され、クラス別に15分のセッションが3回、行われることになる。

 なお、夏時間に入った現地フロリダと日本の間には、13時間の時差がある。

■イベント正式名称

1000 miles of SEBRING

■サーキット&イベントデータ

・名称:セブリング・インターナショナル・レースウェイ
・全長:6,019m
・コーナー数:17
・レース距離:1000マイルまたは8時間

2023年WEC第1戦が行われるセブリング・インターナショナル・レースウェイの3月10日付けコースマップ。この後、ピットレーン入口のレイアウトは変更となる予定だ

■タイムスケジュール(3月15日現在)

※日本時間(現地時間)

・3月15日(水)
23:55~翌0:55(10:55~11:55) フリープラクティス1
翌5:35〜6:35(16:35~17:35) フリープラクティス2

・3月16日(木)
翌0:55~1:55(11:55~12:55) フリープラクティス3
翌7:30~7:45(18:30~18:45) LMGTE予選
翌7:55~8:10(18:55~19:10) LMP2予選
翌8:20~8:35(19:20~19:35) ハイパーカー予選

・3月17日(金)
翌1:00~9:00(12:00~20:00) 決勝

*IMSAセブリング12時間レースは現地時間金曜午前に予選、土曜10:10(日本時間23:10)決勝スタート

■TV放送/映像配信予定

・J SPORTS
3月17日(金)
7:30~09:30 予選(J SPORTS オンデマンド)

3月18日(土)
0:30~9:30 決勝(J SPORTS 3)
0:30~10:30 決勝(J SPORTS オンデマンド)

■ライブタイミング&ストリーミング

・FIA WEC公式ページ
https://www.fiawec.com/

■2023年WEC第1戦セブリング 最新エントリーリスト

Pos. No. Class Team Car Driver Tyre

1 2 HYPERCAR キャデラック・レーシング キャデラックVシリーズ.R E.バンバー
A.リン
R.ウエストブルック MI

2 4 HYPERCAR フロイド・ヴァンウォール・
レーシングチーム ヴァンウォール・
バンダーベル680 T.ディルマン
E.グエリエリ
J.ヴィルヌーブ MI

3 5 HYPERCAR ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ ポルシェ963 D.キャメロン
M.クリステンセン
F.マコウィッキ MI

4 6 HYPERCAR ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ ポルシェ963 K.エストーレ
A.ロッテラー
L.ファントール MI

5 7 HYPERCAR トヨタ・ガズー・レーシング トヨタGR010ハイブリッド M.コンウェイ
小林可夢偉
J-M.ロペス MI

6 8 HYPERCAR トヨタ・ガズー・レーシング トヨタGR010ハイブリッド S.ブエミ
B.ハートレー
平川亮 MI

7 50 HYPERCAR フェラーリ・AFコルセ フェラーリ499P A.フォコ
M.モリーナ
N.ニールセン MI

8 51 HYPERCAR フェラーリ・AFコルセ フェラーリ499P A.ピエール・グイディ
J.カラド
A.ジョビナッツィ MI

9 93 HYPERCAR プジョー・トタルエナジーズ プジョー9X8 P.ディ・レスタ
M.イェンセン
J-E.ベルニュ MI

10 94 HYPERCAR プジョー・トタルエナジーズ プジョー9X8 L.デュバル
G.メネゼス
N.ミューラー MI

11 708 HYPERCAR グリッケンハウス・レーシング グリッケンハウス007 LMH R.デュマ
R.ブリスコー
O.プラ MI

12 9 LMP2 プレマ・レーシング オレカ07・ギブソン F.ウグラン
B.フィスカール
A.カルダレッリ GY

13 10 LMP2 ベクター・スポーツ オレカ07・ギブソン R.カレン
M.カイザー
G.オーブリー GY

14 22 LMP2 ユナイテッド・オートスポーツ オレカ07・ギブソン F.ルビン
P.ハンソン
F.アルバカーキ GY

15 23 LMP2 ユナイテッド・オートスポーツ オレカ07・ギブソン J.ピアソン
T.ブロンクビスト
O.ジャービス GY

16 28 LMP2 JOTA オレカ07・ギブソン D.ハイネマイヤー・ハンソン
P.フィッティパルディ
O.ラスムッセン GY

17 31 LMP2 チームWRT オレカ07・ギブソン S.ゲラエル
F.ハプスブルク
R.フラインス GY

18 34 LMP2 インターユーロポル・コンペティション オレカ07・ギブソン J.スミエコウスキー
F.シェーラー
A.コスタ GY

19 35 LMP2 アルピーヌ・エルフ・チーム アルピーヌA470・ギブソン M.バキシビエール
J.キャナル
C.ミレッシ GY

20 36 LMP2 アルピーヌ・エルフ・チーム アルピーヌA470・ギブソン A.ネグラオ
M.ロハス
O.コルドウェル GY

21 41 LMP2 チームWRT オレカ07・ギブソン R.アンドラーデ
R.クビサ
L.デレトラズ GY

22 48 LMP2 ハーツ・チーム・JOTA オレカ07・ギブソン D.ベックマン
Y.イェ
W.スティーブンス GY

23 63 LMP2 プレマ・レーシング オレカ07・ギブソン D.ピン
M.ボルトロッティ
D.クビアト GY

24 21 LMGTE Am AFコルセ フェラーリ488 GTEエボ S.コスタンティーニ
S.マン
U.デ・ポー MI

25 25 LMGTE Am ORT・バイ・TF アストンマーティン・
バンテージAMR A.アル・ハーシー
M.ディナン
C.イーストウッド MI

26 33 LMGTE Am コルベット・レーシング シボレー・コルベットC8.R B.キーティング
N.バローネ
N.キャツバーグ MI

27 54 LMGTE Am AFコルセ フェラーリ488 GTEエボ T.フロー
F.カステラッチ
D.リゴン MI

28 56 LMGTE Am プロジェクト1・AO ポルシェ911 RSR-19 PJ.ハイエット
G.ジャネット
M.カイローリ MI

29 57 LMGTE Am ケッセル・レーシング フェラーリ488 GTEエボ 木村武史
S.ハファカー
D.セラ MI

30 60 LMGTE Am アイアン・リンクス ポルシェ911 RSR-19 C.スキアボーニ
M.クレッソーニ
A.ピカリエッロ MI

31 77 LMGTE Am デンプシー・プロトン・レーシング ポルシェ911 RSR-19 C.リード
M.ペデルセン
J.アンドラウアー MI

32 83 LMGTE Am リシャール・ミル・AFコルセ フェラーリ488 GTEエボ L.P.コンパンク
L.ワドゥ
A.ロベラ MI

33 85 LMGTE Am アイアン・デイムス ポルシェ911 RSR-19 S.ボビー
M.ガッティン
R.フレイ MI

34 86 LMGTE Am GRレーシング ポルシェ911 RSR-19 M.ウェインライト
R.ペーラ
B.バーカー MI

35 88 LMGTE Am プロトン・コンペティション ポルシェ911 RSR-19 R.ハードウィック
Z.ロビション
H.ティンクネル MI

36 98 LMGTE Am ノースウエストAMR アストンマーティン・
バンテージAMR P.ダラ・ラナ
A.ジェフェリーズ
N.ティーム MI

37 777 LMGTE Am Dステーション・レーシング アストンマーティン・
バンテージAMR 星野敏
C.スティーブンス
藤井誠暢 MI

セブリングでは、ホームストレートではなく、最終コーナー手前のウルマンストレート沿いのピットをWECのチームは使用する
プロローグ走行前日の3月10日、セブリング・インターナショナル・レースウェイのコース下見を行うトヨタGAZOO Racingの面々

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