転勤や進学… 春の港、別れ惜しむ 色とりどりの紙テープで見送り 長崎・五島列島

見送りの人が集まった岸壁=新上五島町、有川港

 旅立ちの春。五島列島の港では、転勤や進学で島を離れる人たちを、住民らが色とりどりの紙テープを手に見送った。「蛍の光」が流れる中、港を出た船が小さくなるまで手を振り、名残を惜しんだ。
 新上五島町の有川港には28日午前、約500人が集まり、佐世保行きフェリーで転出する恩師や知人を送った。

児童や保護者らから見送られる教職員=五島市、福江港

 町立有川小教諭の古賀慧一さん(26)は来月から諫早市で勤務する。「親が転勤族で小学校は上五島。高校も家族と離れ、島で学んだ。故郷のような島の良さを伝えていきたい」。同校5年の高井隆太君(11)は「優しい。苦手な算数を分かりやすく教えてもらった」と寂しそうな表情をみせた。
 五島市の福江港にも、長崎行きフェリーの出港に合わせ、教え子や保護者らが詰めかけた。春から一般企業に転職する市立三井楽中の中川大樹(ひろき)さん(36)は「生徒には『可能性は無限大だ』と伝えた。再会が楽しみ」。市立福江小に3年間勤務した枝川和(のどか)さん(25)は「個性豊かな子どもたちで楽しかった」と、一緒に写真に納まった。
 岸壁には「元気でね」などと書かれたボードを手にした子どもたち。「ありがとうございました」と船上の教職員に届くように、大きな声で感謝の言葉を送った。


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