今季初開催『TCRワールドツアー』に向けリンク&コー・シアン・レーシングが新型車両を披露

 今季2023年よりグローバルに展開される新生TCRワールドツアーに向け、マイナーチェンジを敢行した新型『リンク&コー03 TCR』の投入を表明しているリンク&コー・シアン・レーシングが、改めて2023年型参戦車両のカラーリングと4名のカーナンバーを公開した。さらにオーストラリア大陸ではアシェリー・スワード・モータースポーツ(ASM)が、新たに“オートグリム・チームASM”としてリンク&コー陣営へのスイッチを宣言し、今季TCRオーストラリア・シリーズ第2戦より「初代モデルの即時投入」をアナウンスしている。

 昨年にも中国本土で導入された量産モデルのマイナーチェンジ版をベースとし、前後のスタイリング変更を受けた2023年モデルは、エクスエリアの変更のみに留まらず、将来的なHTCR(共通ハイブリッド機構)の導入もにらみ、外板の下でも「多くの変更が加えられた」という。

 いち早くその新型モデルを走らせるスウェーデンのトップチームは、世界戦に進出した2011年以来、チームの代名詞となっているシアンブルーとイエローのイメージカラーを継承し、チームが獲得した5つの連続した世界タイトルを反映するべく、ボディ各部に5本のストライプを組み込んだ。

 この新型『リンク&コー03 TCR』は、同じく今季実戦デビューを予定する『FL5型ホンダ・シビック・タイプR TCR』とともに、本格ホモロゲーション認証の取得プロセスを開始。すでにイタリアはトリノ近郊グリルアスコにあるピニンファリーナ所有の風洞でダウンフォースとドラッグの測定を終え、エンジン単体も同国モデナに位置するオーラル・エンジニアリングのダイノ上で、数値とパワーカーブの計測を済ませている。

 本格デリバリー前のパイロット参戦的な位置付けとなる『TCR World Tour』には、都合4台を送り込むこととなるLynk&Co Cyan Racingだが、先行して残留をアナウンスしていたテッド・ビョークとマ・キンファに加え、この3月に入り元WTCR世界ツーリングカー・カップの覇者ヤン・エルラシェールと、サンティアゴ・ウルティアの続投も発表。

 今回のカラーリング披露に合わせ、それぞれ順に111号車、155号車、168号車、112号車のカーナンバーを使用することも明かし、開幕戦ポルティマオに向け「精力的なテストプログラムを継続している」という。

量産モデルのマイナーチェンジ版をベースとし、前後のスタイリング変更を受けた2023年モデル
チームの代名詞となっている”シアンブルー”と”イエロー”のイメージカラーを継承し、チームが獲得した5つの連続した世界タイトルを反映するべく、ボディ各部に5本のストライプを組み込んだ

■BTCC優勝経験者のオリファントが豪州でリンク&コーをドライブ

 その先行開発車両の公開と前後して、オーストラリアでもリンク&コー陣営の勢力が拡大することも決まり、これまでアルファロメオ・ジュリエッタを走らせてきたASMは、TCRアジア(チームワーク・モータースポーツ)やTCRサウスアメリカ(PMOモータースポーツ)、さらにSTCCスカンジナビアン・ツーリングカー選手権(MA:GP)などに続き、2019年以降世界中で成功を収めてきた初代モデルの導入を決断。5月のフィリップアイランドで争われる今季第2戦から、新加入のトム・オリファントにリンク&コー03 TCRを託す。

「こうしてジーリー・グループ・モータースポーツ(吉利汽車)の支援を受け、新しいパートナーシップを発表できることを誇りに思う」と挨拶したチーム代表のアシュリー・スワードだが、そのASMが投入する車両はこれまでWTCRでシアン・レーシングが走らせてきた個体のうち1台を引き継ぐ計画だという。

「我々はこの重要なプロジェクトに向け、しばらくの間ジーリーと協力してきたが、彼らはずっと素晴らしい対応をしてくれていた。リンク&コーは世界で最高のTCRカスタマープログラムを提供していると信じており、我々としてもTCRの世界戦でブランドが達成した成功に、さらに貢献できることは間違いない」と続けたスワード代表。

「リンク&コーと新ドライバーのトム・オリファント、そして大切なスポンサーであるオートグリムの組み合わせは、グリッドでも強力な布陣の1台になると感じており、これからクルマをオーストラリアに持って行き、コースに出るのが待ち切れないね」

 一方、シモンズプレインでのシーズン開幕戦で最高4位というシリーズデビューを記録したオリファントは、新しいマシンに乗り換えるプランに「興奮している」と期待を込めた。

「リンク&コー03 TCRでレースをする機会を得られて感激しているよ。このクルマは近年、世界中のシリーズで驚異的な成功を収めているし、オーストラリアに来る最初の1台をドライブできることは非常にエキサイティングだ」と続けた元BTCCイギリス・ツーリングカー選手権優勝経験者でもあるオリファント。

「このクルマの能力は明らかだし、ジーリー・グループ・モータースポーツからの直接サポートの恩恵を受け、僕自身と『オートグリム・チームASM』は彼らリンク&コーとともにシーズンの成功を楽しむことができると確信している」

新型『Lynk&Co 03 TCR』は、同じく今季実戦デビューを予定する『FL5型ホンダ・シビック・タイプR TCR』とともに、本格ホモロゲーション認証の取得プロセスを開始
豪州大陸ではAshly Seward Motorsport(ASM)が、新たに『Autoglym Team ASM』としてLynk&Co陣営へのスイッチを宣言した

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