ハタ揚げ大会あす開催 職人の小川さん「コロナ吹き飛ばして」

コロナ禍の取り組みやハタの魅力について語る小川さん=長崎市、風頭公園

 「忙しかよ。今年は大会のあるけんね」。長崎の春の風物詩、ハタ揚げは4月がハイシーズン。長崎市風頭町にある小川凧(はた)店のハタ職人、小川暁博さん(73)は、2日に同市の唐八景公園で開かれる長崎ハタ揚げ大会(長崎新聞社、長崎ハタ揚げ振興会主催)の準備に追われる。4年ぶりの待望の大会に、小川さんは心を弾ませている。
 同大会は例年4月に開いていたが、新型コロナウイルスの影響で2019年を最後に中止となった。他の大きな大会も軒並み取りやめとなった。
 春にハタ揚げがない-。ハタに半世紀関わってきた小川さんにとって初めての経験。大口の注文もなくなり、修学旅行生の受け入れもキャンセル。気分が沈んでいった。
 気持ちを切り替え「せっかくなら根気のいる仕事をやろう」と、20年ごろから縁起物の飾りバタの制作に取りかかった。サイズは従来より小さく飾りやすくし、柄は、滝つぼからしぶきを上げて登っていくニシキゴイをデザイン。うろこは手作業で1枚ずつ貼り付けた。この「祝(いわい)のぼり鯉(ごい)」は、県の「長崎デザインアワード2021」で入選を果たした。
 江戸時代から続くハタ文化は、長崎にとって切り離せないもの。市内の小学生への普及活動にも取り組み、伝統を残していくために一つずつ積み重ねていった。
 そしていよいよ、大会が再開される。今年のハタはコロナ禍に作った。3~4年寝かした骨組みを使うため「(竹が)十分乾燥して最高の骨組み」と満足できる出来栄え。「4年ぶりに大空の下でおいしい空気を吸って、コロナのことはハタに乗せて吹き飛ばして楽しんでもらえたら」と笑顔で語った。

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