海ごみ問題、行動する大切さ漫画で発信 対馬の武田さん、福山さん共作

対馬沿岸の漂着ごみ問題をテーマにした漫画を企画し、ストーリーを考案した武田さん=対馬市上県町

 年間推計で約2万~3万立方メートルのプラスチックごみなどが漂着する長崎県対馬。問題への関心を広げようと、対馬市上県町の元会社員、武田暢博さん(65)と上対馬町の漫画家、福山沙知さん(39)が、漂着ごみをテーマにした漫画(A5判)を制作している。タイトルは「ボラ島太郎よ集え!~SDGsの取り組み物語~」。親しみやすいイラストで、問題解決に向けて一人一人が行動する大切さを訴える。
 漫画は全36こま。昨年から海岸清掃ボランティアに取り組む武田さんがストーリーを考案し、福山さんにイラストなどを依頼。福山さんは夫とゲストハウスを営みながら、対馬の観光情報などを漫画で発信している。
 おとぎ話「浦島太郎」がモチーフ。物語は数十年前から始まる。対馬は魚やアワビ、海藻類など水産資源の宝庫で、美しい海が広がっていた。対馬に住む主人公はある日、カメを助け海中の「竜宮城」へ向かう。主人公が楽しんでいる間、対馬沿岸には大量のごみが流れ着き、温暖化などで磯焼けが進んでいた。
 現代の対馬に帰った主人公は変わり果てた島の姿に衝撃を受ける。そんな時、海岸清掃に取り組む島民たちに出会い、海ごみ問題の解決には一人一人の力の積み重ねが大切なこと、そしてもっと多くの仲間の協力が必要なことを教わる。
 武田さんによると、漫画は少なくとも300部印刷する計画。今年夏ごろから、海岸清掃の現場などで無償配布し、清掃活動の輪を広げたいという。

漫画のイラストなどを担当した福山さん=対馬市上対馬町

 タブレット端末でイラストを描いた福山さんは「美しい自然が対馬のいいところ。漫画を通して海ごみ問題の解決に貢献したい」。武田さんは「子どもから大人まで楽しく読める作品になっている。島内外の人に共感を広げたい」と話している。

© 株式会社長崎新聞社