恐竜王国福井県で後期ジュラ紀地層を新たに確認 中部縦貫道の工事現場、アンモナイト化石から推定

中部縦貫自動車道の工事現場で見つかったアンモナイト化石。左がペリスフィンクテス科、右が同科のクラナオスフィンクテス亜属の一種=4月13日、福井県庁

 福井県立恐竜博物館(福井県勝山市)は4月13日、同県大野市川合の中部縦貫自動車道大野油坂道路(全長35キロ)工事現場の地層年代が後期ジュラ紀(1億6350万年前~1億4500万年前)と推定されると発表した。この時代のアンモナイト化石2点が見つかり判明した。これまで全国で化石が産出しているジュラ紀の地層は範囲が限定的で、同博物館は「当時の海洋環境などを知る上で貴重な研究対象になる」としている。

 この地層は、未開通区間にある九頭竜インターチェンジ東側の川合トンネル(仮称、全長2550メートル)の工事現場一帯。工事では大量の岩石が掘り出されるため、同博物館と大野市が共同調査を続けている。

 2020年に産出したアンモナイト2点は、殻が渦巻き状の代表的グループ「ペリスフィンクテス科」に属し、うち1点は殻にある線状の盛り上がり「肋(ろく)」の形から、同科の「クラナオスフィンクテス亜属」と特定された。殻の直径は約170ミリ~210ミリと、一般的なものの倍近く、新種の可能性がある。

 ともに後期ジュラ紀の中でも年代が最も古い「オックスフォーディアン期」に生息。進化が速いアンモナイトは地層年代を特定するのに有効な「示準化石」と呼ばれ、現場付近の地層はオックスフォーディアン期と推定されるという。

 県内で恐竜などの化石が発掘されている地層の年代は、手取層群北谷層(勝山市)など白亜紀前期(1億4500万年前~1億50万年前)や新生代(約6500万年前~現代)が中心。ステゴサウルスやアロサウルスが生息したジュラ紀の地層は大野市和泉地区の一部でしか確認されていない。

 現場では二枚貝など多数の化石が確認されており、同博物館の宮田和周総括研究員は「さらに重要な発見があるかもしれない」と話している。

 今回産出したアンモナイト化石2点は、4月21日から5月14日に福井県産業会館(福井市)で開かれる企画展「THE恐竜in福井」で一般公開する予定。

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