市街地にある直径70mの円墳をきれいに復元 福井県鯖江市の兜山古墳、案内板や芝生広場を整備

環境整備工事が完了し、きれいに復元された兜山古墳=福井県鯖江市神明町2丁目(鯖江市提供)

 福井県鯖江市は国指定史跡「兜山古墳」(神明町2丁目)の保存と活用に向け、2019年度から進めていた環境整備工事を完了した。直径70メートルと北陸最大級の円墳をきれいに復元。案内板や見学者用のスロープ、芝生広場などを整備し、歴史をより身近に感じられる“史跡公園”に生まれ変わった。4月22日午前10時から現地で完成記念式が行われ、供用を始める。

 兜山古墳は鏡餅のような2段重ねの形状。5世紀ごろに築造されたとみられ、丹南地域を治めた豪族が葬られていると推定されている。墳丘上に古くから八幡神社があるため、市街地でも比較的良好な状態で残ってきたという。1977年には国史跡に指定された。

 市教委によると、国指定史跡の環境整備事業は王山古墳群(日の出町)に次いで市内2例目。大型古墳では県内初。国の補助を受け、工事は19~22年度に行われ、移転が見送られた八幡神社を墳丘上に残したまま整備が進められた。

 円墳の形状と斜面を保護する目的で盛り土を施し、芝生を張るなどして復元。案内板、屋根付き休憩所とベンチのほか、古墳中段につながる金属製スロープ、石階段を整備した。

 ポール灯や足元灯、古墳をライトアップする照明も設置。円墳にちなみ、入り口のスペースや看板など、随所に円形のデザインを採用している。総事業費は約3億4800万円。

 福井鉄道福武線の神明駅に近く、古墳の南西隣には別の事業で駐車場(9台分)とトイレも整備した。

 佐々木勝久市長は「鯖江の貴重な歴史遺産、観光資源として市内外の皆さんに知ってもらう事業を展開していきたい」とコメントした。市教委は6月、兜山古墳など県内外の古墳を巡るバスツアーを企画。9月には兜山古墳で、古墳好きのブルースシンガー、まりこふんさんのトークとライブを予定している。

© 株式会社福井新聞社