福井鉄道のドイツ製人気車両、来春から通年運行へ レトラム、北陸新幹線福井県内開業に合わせ冷暖房設置

福井鉄道福武線を走るレトラム。北陸新幹線県内開業に合わせて、通年運行化される=福井県福井市内

 福井鉄道(本社福井県越前市)は2024年春の北陸新幹線県内開業に合わせ、春と秋に季節限定で運行しているドイツ製車両「レトラム」を通年運行に切り替える。夏と冬に快適に乗車できるよう冷暖房設備を設置する。レトロな車両は家族連れや鉄道ファンから人気を集めており、新幹線延伸後の2次交通として乗客増につなげたい考えだ。

 レトラムは1965年製の2両1編成で、丸みのある車両前面にヘッドライトが縦に二つ並んだデザイン、白と黄色のツートンカラーが特徴。県の全額補助を受け、福鉄が高知県の土佐電鉄から2013年に購入した。

⇒東尋坊や恐竜などデザイン…福井鉄道、えちぜん鉄道が「御乗印」販売

 冷暖房設備がないため、現在は春と秋のみ運行し、土日曜と祝日に福武線のたけふ新駅―田原町駅間、福井駅―田原町駅間をそれぞれ1日1往復している。

 車内を快適にするため冷暖房設備を設置し、運行頻度の増加に耐えられるよう電気設備も改修する。設備改修費は1億9千万円。県が3分の2、国が残りを負担する。県は1億2600万円を本年度当初予算に計上した。

 昨年は春、秋合わせて延べ1700人が乗車した。福鉄は「レトラムを目当てに県外から来られるお客さんも多く、季節問わず運行する観光電車として、乗る楽しみを提供し、丹南へ足を運ぶ観光客を増やしていきたい」としている。

 新幹線開業に向けた観光列車としては、えちぜん鉄道が県立恐竜博物館(勝山市)の来館者向けに「恐竜列車」を整備し、今夏の同館リニューアルオープンに合わせ運行を始める。県地域鉄道課は「公共交通のエンタメ化によって乗りたくなる仕掛けづくりをし、観光客らの満足度を高めていく」との考え。

 レトラムの今春の運行は22日に始まる。6月4日まで走り、沿線に異国情緒の彩りを添える。期間中に3回乗ると非売品の「福鉄電車キラカード」がもらえるキャンペーンを行う。

© 株式会社福井新聞社