茨城県アンテナ店好調 PR奏功、売り上げ最高 東京・銀座

県アンテナショップの売り上げ推移

東京・銀座の茨城県アンテナショップ「IBARAKIsense(イバラキセンス)」の販売が好調だ。特産の干し芋や納豆などが人気で、2022年度の売り上げは約3億円(速報値)と、2年連続で最高額を更新した。県はメディア露出や体験企画などプロモーション戦略が奏功したと分析する。コロナ禍で各県アンテナショップが運営見直しを迫られる中、善戦している。

イバラキセンスは前身の「茨城マルシェ」を全面改修し、18年10月にオープンした。県産品の首都圏へのPR、商品のマーケティング調査を担う。

県によると、売り上げはコロナ禍で20年度は落ち込んだものの、21年度は回復し、全面改修後、最高の約2億6千万円となった。22年度は約3億円(速報値)で、2年連続で更新。茨城マルシェの最高額となる16年の約2億8千万円も越えた。

22年度の内訳は、物販部門が約2億4千万円、ダイニングやカフェの飲食部門が約6千万円で、いずれも前年から約2千万円増えている。

県プロモーションチームの担当者は「物販部門の干し芋と納豆の売り上げが好調」と説明する。干し芋は販売スペースを割いて、延べ約100種類を並べるなど全面的にアピール。メロンやナシ、クリ、イチゴなども好調で、こうした素材を生かしたパフェも人気だった。飲食部門ではコロナ禍の制限が緩和され、あんこう料理が伸びた。

販売促進策として、県はメディア露出を狙ったイベントや体験型企画を実施してきた。メディア向けの企画ではタレントや有名人を起用。干し芋作りやブルーベリー摘み取りなど体験企画により、集客を図った。担当者は「イバラキセンスは、来店者を茨城につなぐ場」と話し、PR拠点の役割を強調する。

都心に立地する各自治体のアンテナショップでは、コロナ禍もあって、運営の見直しを進める。

地域活性化センター(東京都)の調査によると、都内で単独営業するアンテナショップは59店(22年4月時点)で、前年より3店減少し、16年の調査開始以来初めて前年割れとなった。自治体によっては、銀座の店舗を閉じたり、都内の複数店舗を集約したりするなど、対応を余儀なくされるケースが相次いでいる。

アンテナショップの在り方について、同センターの畠田千鶴さんは「ものを売るだけでなく、ブランド化やマーケティング、体験型企画を通じ、どれだけファンをつくれるかが重要」と話す。

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