元J1鹿島・青木剛さん フットゴルフ、世界挑戦 W杯代表選出 夢舞台「わくわく」

フットゴルフの日本代表に選ばれた青木剛さん=阿見町吉原

サッカー・J1鹿島アントラーズなどで活躍した元日本代表の青木剛さん(40)が、フットゴルフ日本代表に選ばれ、5月27日(現地時間)に米フロリダ州で開幕するワールドカップ(W杯)に出場する。サッカーではかなえられなかったW杯出場を、競技を変えて実現。「日の丸を背負い、夢だった世界の舞台で戦えることにわくわくしている」と心待ちにする。

■1年でトップ選手
フットゴルフは、サッカーボールを蹴り、ゴルフとほぼ同じルールでプレーする競技。青木さんは、2021年12月に関東1部リーグの南葛SCでサッカー選手を引退。直後の翌22年1月、友人に誘われ初めてフットゴルフをプレーした。

精神力の強さや高度な戦略性が求められるゴルフの魅力は知っていたため「サッカーボールでゴルフができるなら絶対面白いはず」。実際のプレーは予想以上に楽しく、すぐに競技のとりこになったという。

2月には日本協会主催の国内ツアーに初参戦。コースの起伏や風の読み方などに苦しみながらも、サッカーで培った正確なキックや集中力を発揮し、次第に成績が上向いた。

古巣・南葛SC代表で漫画家の高橋陽一氏が日本協会のアンバサダーだった縁もあり、4月には同SCとプロ契約を結んだ。

強力な支援を受け、6月にはツアー参戦5戦目で初優勝。さらに代表選考会を兼ねた8月からの22-23シーズンのツアーでは、今年3月までの14大会で4度の優勝を飾り、本格参戦から1年余りでトップ選手の仲間入りを果たし、代表の座をつかんだ。「代表入りを思い浮かべてプレーしてきたので、すごくうれしかった」と素直に喜ぶ。

■2度目の「日の丸」
青木さんは群馬県高崎市出身。前橋育英高から01年に鹿島に加入した。DFや守備的MFなどでプレーし、所属した15年半で数々のタイトル獲得に貢献。Jリーグ通算出場は426試合に上る。

08、09年にサッカー日本代表に選ばれており、日の丸を背負うのは2度目。サッカーでは、夢舞台だったW杯のピッチには立てなかったが、フットゴルフにもW杯があることを知り「もう一度世界に挑戦したい」との思いが込み上げた。

日本代表には、男女とシニア(46歳以上)で計52人が選出。ツアーランキング1位の青木さんは、男子個人戦と団体戦に出場予定で、「個人として世界の頂点を目指すのはもちろん、日本の勝利にも貢献したい」と意気込む。

■競技の魅力伝える
日本協会によると、競技は09年にルール化され、12年に国際連盟が設立。同年にW杯が初開催され、現在は欧米を中心に40カ国以上で楽しまれている。

国内では14年に日本協会が設立されたが、プレーできるコースは全国約20カ所。県内では阿見町の「ジュンミニゴルフ」と、つくば市の「筑波国際カントリークラブ」の計2カ所にとどまるという。

青木さんは今年3月、活動拠点の鹿嶋市で開かれた大会のアンバサダーを務めるなど、競技環境の充実化や競技普及に力を入れたい考え。W杯出場は競技への関心を高める絶好の機会と捉えている。

「ボールがあれば誰でも気軽に楽しめる。W杯で結果を出すことで競技の魅力を伝えていきたい」と熱っぽく語った。

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