中学生変面師・妃那さんの母親 裏方から演者に挑戦! 親子で旗振り「長崎から世界へ」

「長崎から世界へ」と変面を発信する(手前から)妃那さん、小林さん、藩さん=長崎市伊良林1丁目

 長崎県長崎市で中学生変面師として活躍する「妃那(ひな)」さん(12)を6年間裏で支えてきた母親の小林奈々さんが、自身も演者への道を本格的に踏み出した。変面業界の旗振り役となるべく、親子で演技を高め合っている。
 小林さんが変面を始めたのは2017年。長崎孔子廟(びょう)の館長だった藩秀貴さん(58)から、華やかで演者向きだとして「変面師にならないか」と声をかけられた。当時は副館長。30歳を過ぎ「年齢も年齢ですから」と気乗りはせず、親子で稽古し習得するも、イベントの立案や運営に多忙を極め、披露する機会は少なかった。
 しかし、同館所属の変面師に振りを付けたり、音楽を編集したりと、裏方に徹する日々の中で、どんどん変面に魅了されていった。
 「伝統芸能としての変面の奥深さ、歴史にも興味を持ってもらえる形で発信したい」。同館を3月末に退職し、変面事業を中心とするイベント会社Clan(クラン)を藩さんと立ち上げた。「自らも変面師として活動することが業界をけん引することにつながる」と考え、稽古を再開させた。
 相弟子とはいえ、妃那さんとは場数で後れを取っている。母親との共演は「次はこう動くだろうな、というのが分かるのは親子だからかな」と妃那さん。切磋琢磨(せっさたくま)しながら、長崎から世界へと変面を発信していく親子変面師の挑戦が始まった。

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