投票所で性別暴露 長崎市選管に改善を要望 トランスジェンダーの有権者

選管の担当者に投票所でのアウティング被害を訴える吉村さん=長崎市役所

 今春の統一地方選で、心と体の性が一致しない「トランスジェンダー」の20代有権者が長崎市内で投票した際、意に反して戸籍上の性別などを暴露されたとして、本人らが10日、同市選管に投票所の対応を改善するよう要望した。選管側は「不快な思いをさせ大変申し訳ない」と陳謝し、事実確認や改善に向けた検討を進める考えを示した。
 被害を訴えているのは同市の吉村ゆうさん(22)=通名=で、性自認は女性。吉村さんによると、4月21日に市内の期日前投票所を訪れた際、本人確認を担当した係員が吉村さんの戸籍上の性別や、公表していない本名を周囲に聞こえる声で発言したという。性自認や性的指向などを、本人の同意なく第三者に暴露する行為は「アウティング」と呼ばれる。
 吉村さんは「今後も同じ状況が続くと、同じ立場の人たちも選挙に行きづらくなる。投票しやすい環境に改善してほしい」と話す。要望書は吉村さんが所属する日本民主青年同盟県委員会が提出し、「安心して投票できる配慮」を投票所の対応マニュアルに盛り込むことなどを求めている。市選管は後日回答する予定。

© 株式会社長崎新聞社