鹿沼・鳥居跡町の花屋台 勇姿復活へ 東日本鉄道文化財団が支援

東日本鉄道文化財団の支援を受けて修復される鳥居跡町の彫刻屋台=鹿沼市提供

 【鹿沼】国連教育科学文化機関(ユネスコ)無形文化遺産に登録されている「鹿沼今宮神社祭の屋台行事」で使用する鳥居跡(とりいど)町屋台の修復事業が、公益財団法人東日本鉄道文化財団の地方文化事業支援の本年度対象事業に選定され、12日にかぬまケーブルテレビホール(市民文化センター)で事業承認書の贈呈式が行われた。支援金約272万円は、同日設立された「鹿沼いまみや付け祭り祭用具等整備委員会」に贈られ、約70年前に製作された花屋台の修復に充てられる。

 鹿沼今宮神社祭の屋台行事は、華麗な彫刻を施したはやし屋台が巡行する付け祭り行事。1608年に始まった同神社例祭が起源とされ、現在は毎年10月の例祭に合わせ、34の氏子町のうち屋台をもつ27町から約20台が奉納されている。

 各町の屋台は周囲を豪華な彫刻で飾った四輪一層形式のはやし屋台。1954年に製作された鳥居跡町の屋台は、88年に富山県の井波彫刻協同組合が製作した鬼板や懸魚(げぎょ)が取り付けられ、その後鳳凰や花鳥を配した彫り物で屋台全体が飾られた。

 長年の使用で屋台を支える土台や胴差(どうさし)などがひび割れるなど傷みが激しく、運行に支障を来す可能性があるため同財団の事業支援に応募した。

 贈呈式で同財団の太田稔(おおたみのる)専務理事(67)は「貴重な歴史、文化を将来に向けてつなげていってほしい」とあいさつ。事業承認書を受け取った同委員会の小林幹夫(こばやしみきお)委員長(69)は「県などの財政が厳しい折、支援をいただき助かっている」と感謝した。

 財団はJR東日本が92年に設立。管内の伝統芸能や歴史的建造物などの保存、継承事業として287カ所で支援しており、県内での選定は2001年度の那須烏山市「山あげ祭保存伝承」をはじめ今回で16件目。

事業承認書を手にする鹿沼いまみや付け祭り祭用具等整備委員会の小林委員長(左)と東日本鉄道文化財団の太田専務理事

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