多胎育児の情報 冊子に NPO法人目指す「とちぎ多胎ネット」 市町の支援や民間サービス紹介 

とちぎ多胎ネットが作成した冊子「ふたご・みつごサポートブック」

 双子や三つ子など多胎児を妊娠・育児中の家庭を支援する「とちぎ多胎ネット」は多胎を妊娠した家庭向けに冊子「ふたご・みつごサポートブック」を作成した。同ネットは「多胎サークルがない自治体もあり、多胎育児の情報が行き届かない人がいる。困った時に活用してもらったり、支援につながったりするきっかけになれば」としている。

 多胎児出産は全出産数の約1パーセント%。単胎児に比べて低出生体重児の割合が多く、医療的ケアが必要になりやすい。さらに妊娠、出産、育児に伴う養育者の負担は多岐にわたる。外出の困難さや情報不足から孤立しがちで、虐待リスクも高いとされる。

 同ネットは多胎育児の経験がある小山市の多胎サークル「さくらんぼ小山会」の共同代表の南部裕子(なんぶゆうこ)さん(44)=小山市=と山本緑(やまもとみどり)さん(51)=下野市=が、妊娠期からの切れ目のない支援を県全域で行い、安心して多胎児を育てられる社会をつくろうと2022年に創設した。

 冊子は同会と県内で子育て支援などを行うNPO法人「そらいろコアラ」が21年、多胎児に特化した妊娠・育児中の困り事や支援のニーズに関するネット調査を行ったところ、多胎育児に対する情報不足による不安の声が散見したことから作成した。

 多胎に特化した県内市町の支援一覧や多胎サークルの案内、産後ケアや困った時に利用できる民間サービス、双子用ベビーカーの選び方、役に立つ刊行物などについて、21ページにわたって紹介。A5サイズでカラー印刷。約700部作成し、県内全市町の窓口で配布している。

 同ネットは寄付と助成金で運営し、冊子の作成や多胎児妊娠中の夫婦らが対象の多胎プレファミリー教室や交流事業を行っている。

 だが、本年度で助成金が終了し、活動に支障がでる可能性があるという。活動の安定化のため本年度中にNPO法人化を目指しており、南部さんは寄付を募るとともに「子育て支援に興味がある人で、一緒に運営する人を募集している」と呼びかけている。

 本年度の同教室は6月11日(オンライン)、9月17日(さくら市)、12月2日(オンライン)、来年3月2日(宇都宮市)に開催。無料。希望者は各開催1週間前までに申し込む。メールtochigi.tatai@gmail.com

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