黄金の畑で大麦収穫 城崎の工芸品「麦わら細工」の材料に 兵庫・加古川

鎌を持ち大麦を束ねて刈り取った=加古川市上荘町薬栗

 兵庫県豊岡市城崎町の伝統工芸「麦わら細工」の材料になる大麦の収穫が18日、同県加古川市上荘町薬栗の農地で始まった。JA兵庫南が東播地域特産の大麦の新たな活用法として、昨年から供給。黄金色の大麦を、鎌を手にした6人が次々と刈り取っていった。(増井哲夫)

 同JAによると、同県稲美町や加古川市の約430ヘクタールで大麦を栽培し、2022年度は1442トンを収穫した。大半が麦茶の原料だったが、新たな活用法を模索する中、城崎麦わら細工振興協議会の神谷俊彰会長(57)から麦わら調達が困難になっている状況を聞き、提供を打診。材料供給が決まった。22年は3アールの農地での収穫分(9万本程度)を納入し、23年も同程度を予定している。

 この日は、同JAと加古川市による「ふぁーみんサポート東はりま」が請け負う農地のうち約1.5アールで大麦を刈り取った。来週も別の場所での収穫を予定。大麦の茎は倉庫で7月ごろまで乾燥させる。麦わら細工の材料になるほか、同JAと連携する福祉事業所がプラスチックストローの代替品に加工する。

 城崎麦わら細工は、色染めしたわらでさまざまな模様を作り、きり箱などを飾り付ける。江戸時代から継承され、県伝統工芸品に指定されている。

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