古本喫茶、ひそかな人気 明石の「シェア本棚明石」開業1年 飲食格安で読み放題 小説や詩の創作、応援する場に

店内に立つ風杜さん。市の「明石まちなかブックスポット」にも認められている=明石市魚住町西岡

 風杜歌男(かざもりうたおのこ)さん(55)=ペンネーム=が、自宅近くの兵庫県明石市魚住町西岡で古本喫茶「シェア本棚明石」を開き、間もなく1年になる。格安で飲食しながら古本も読み放題とあって、子どもやお年寄りのひそかな人気スポットに。文学サロンを催すなど文化拠点の顔も持つ。「地元で小説や詩を書くクリエーターを応援する場にしたい」と意気込む。(松本寿美子)

 中国江蘇省無錫市で、日系企業進出などを支援するコンサルティング業を営んでいた。これまで中国を舞台にした10作の小説を電子書籍で発表し、音楽バンドでも活動。帰郷後、書店やレコード店、楽器店がなくなった地域に交流の場をつくろうと、昨年6月、築50年の店舗跡に開業した。

 壁一面の本棚には古本がいっぱい。1マスを月千円で借りられ、広く伝えたい本を並べたり、自著を販売したりする人も。150円からのコーヒー、かき氷やおにぎり、パン、たこせん、わらび餅、駄菓子などを提供。風杜さんが考案したインドのナン風生地の皮にチーズなどを挟んで焼く「中華なんナン」や牛すじこんにゃく丼もある。

 昼間は高齢者、夕方には小学生でいっぱいになる。「おっちゃん、よう子どもでも入りやすい店開いてくれたわ」と感謝され、「何で子どもが入りやすいんか考えてみる」と夏休みの自由研究にする子も。「うるさいけど面白い。口は悪いけど、ありがとうございましたってお辞儀して帰られると全部帳消しになる」と目を細める。

 地元の人の絵を展示販売するほか、かき氷を賞品に小学生が創作した絵画や音楽、漫画、アクセサリーなど幅広いジャンルのコンテストも開催。自作の雑貨を持ち込む子もおり「これが売れるんですわ」という。

 飲食せず読書のみも可。無料貸し出しもある。電子書籍出版や音楽配信のノウハウも教える。風杜さんは「本を読む人より書く人を育てたい。その方が地域も活性化すると思う」と話す。

 不定休。明石高専正門の北すぐ、JR魚住駅徒歩4分。駐車場なし。月-木は午前11時半~午後6時ごろ(金は午後8時、土日祝は同4時)。メール:info@sbook-s.com

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