名木・実美桜保全へ 「さねとみ桜と歩む会」発足で、地域を元気に 那須塩原

さねとみ桜と歩む会の設立総会

 【那須塩原】塩原地区の名木としても知られる「実美桜(さねとみざくら)」を中心に、地域の活性化を図る「さねとみ桜と歩む会」が16日、発足した。自治会や観光協会など地区内各団体の関係者で組織し、地元住民などの協力を得ながら、樹勢が衰えつつある実美桜の保全や周辺の環境整備に取り組む。会長に就任した渡辺美徳(わたなべよしのり)門前自治会長(60)は「できるだけ多くの協力者を募り、会の活動を通して塩原を元気にしたい」と話す。

 エドヒガンザクラの実美桜は、1884年10月23日に塩原街道(現国道400号)の開通式が行われた際、明治政府太政大臣の三条実美(さんじょうさねとみ)が来訪したことを記念して植樹された。

 4月中旬ごろに淡いピンク色の花を咲かせるが、140年近い樹齢となり空洞化が進行。樹幹にキノコが生えているほか、以前より花の数も減少しているという。2021年4月に実施した樹木医による樹勢調査では、保全に最低でも約150万円、樹木の周辺環境の整備も含めると約500万円を要するとの試算結果となった。

 そこで、地元のシンボルでもある実美桜を守ろうと、同自治会、塩原温泉観光協会など門前町内を中心とした11の組織から、50~70代の役員12人を選出し同会を立ち上げた。16日は市消防団塩原支団第1分団第4部詰め所で設立総会を開き、正式に発足した。

 本年度は、実美桜周辺の草刈りなどの環境整備の事業を予定する。また今後、地元住民や活動に賛同する人に向け、申し込み方法や窓口を定めた上で会員を広く募る考え。年会費千円や寄付金などを保全にかかる費用に充てる方針だ。

 渡辺会長は「まずは、塩原にゆかりのある人や観光客に向け、実美桜や同会の存在を周知することに力を注ぐことから始めたい」と意気込んでいる。

保全が必要とされる実美桜

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