「外交こそ戦争防ぐ」 元防衛官僚・柳澤氏 長崎で講演

「外交こそ戦争を防ぐ」と語る柳澤氏=長崎市、長崎ブリックホール

 長崎市茂里町の長崎ブリックホールで20日、元防衛官僚で元内閣官房副長官補の柳澤協二さん(76)が「軍備拡大によらない戦争回避への道」をテーマに講演。ロシアによるウクライナ侵攻を「戦争は国家意志の実現を目的とする暴力。外交こそが戦争を防ぐことができる」と強調した。
 柳澤氏は2004年から09年まで四つの政権で内閣官房副長官補を務めた。日本の現状を「経済大国といっても、1人当たりの国内総生産(GDP)は世界30位以内に入るレベル。先端技術で大幅な後れを取っているのも政府の政策失敗だ」と批判した。
 政府が昨年12月、安全保障関連3文書を閣議決定し、反撃能力の保有を明記した点に触れ「理解に苦しむ。ミサイルの撃ち合いは国民を守らない」と述べ、同文書撤回を求めた。
 軍拡ではない戦争回避策について「平和とは和解による恐怖や抑圧からの解放。社会や政治が国民の信頼を勝ち取り、安心を提供しなければならない」と結んだ。県保険医協会と市民団体「言論の自由と知る権利を守る長崎市民の会」の市民公開講演会。対面、オンライン合わせて約100人が参加した。

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