路線バスの上限運賃引き上げへ 関東自動車が国に申請 7月に運賃改定方針 栃木

関東自動車の路線バスの主な運賃改定

 関東自動車(宇都宮市簗瀬4丁目、吉田元(よしだげん)社長)は22日、県内20市町で運行する路線バス運賃を7月1日から全路線(大田原市の一部と小山市内を除く)で平均18%引き上げる方針を発表した。不足する運転士の確保に向けた人件費の増加や燃料費高騰などが要因。全路線の運賃改定は消費税率の引き上げを除き1997年5月以来、約26年ぶりとなる。

 関東運輸局に22日、上限運賃の改定を申請。認可されれば上限の範囲内で運賃を収受できる。同様の動きは全国で相次ぎ、3月には群馬県の関越交通や千葉県内の14社などが申請した。

 関東自動車によると、路線バスの2021年度経常収支は、新型コロナウイルス禍の乗客減などで11億6千万円の赤字だった。損失を抑えるのに加え、デジタル技術を活用した利便性の向上やバスの電気自動車(EV)化の推進、サービス維持には運賃改定による収支改善が必要と判断した。

 宇都宮市中心部の宇都宮駅西口~東武西口などの特別区間は、現行の170円から190円、宇都宮駅西口~作新学院前は220円から250円とする予定。一方、石橋駅~真岡営業所など距離に応じた運賃計算を行う「郊外部エリア」は平均15%程度引き上げる。

 同社路線バス部の福島崇文(ふくしまむねのり)部長は「安全安心な輸送サービスを維持していくためにご理解いただきたい」と話した。

 同社は新たに精神障害者保健福祉手帳を持つ利用者の運賃を7月1日から5割引きにする。

JR宇都宮駅西口に停留する関東自動車の路線バス

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