〈変わりゆく手取川〉 桑島化石壁「丸裸」に ドローンでレーザー測量

桑島化石壁をドローンで測量する調査団員=17日、白山市桑島

  ●本社環境調査団

 北國新聞社の手取川環境総合調査団は23日までに、白山市桑島にある1億3千万年前の地層「桑島化石壁(かせきかべ)」のパネル制作に着手し、ドローンによるレーザー測量で地形の3Dデータを取得した。草木に覆われて全容が見えない化石壁を先端技術で丸裸にする。白山手取川ジオパークは24日に国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界ジオパークに認定される見通しで、代表格である化石壁の姿を克明に記録する。

 「水・土砂循環」「地質・地理」両グループの合同調査で、調査員を務める柳井清治石川県立大特任教授、長谷川卓金大教授の指示のもと、建設コンサルタント「地域みらい」(中能登町)のスタッフがドローンを飛ばした。

 高さ70メートル、長さ150メートルの壁全体にわたってデータを詳細に取得。繁殖する草木をはじめ岩肌の凹凸、地層の重なり、無数のひびが高画質で再現される。木が立ったまま化石になった「珪化木(けいかぼく)」の位置や、表面の岩に刻まれたわずかな水流の跡も識別できる。

 水の跡は地層がかつて河川に沈んでいた証拠であり、長谷川教授は「白山手取川ジオパークが『水の旅・石の旅』をテーマにしている理由がよく分かる」という。

 砂岩と泥岩から成る桑島化石壁はもろく、ひびの向きが分かる画像は崩れやすい箇所の把握にも役立つ。壁の風化は進んでおり、長谷川教授は「50年後、100年後はさらに形が変わる。世界ジオの現状を詳細に記録し、保存することは重要だ」と強調した。

  ●草木除いた画像記録

 今後、画像から草木を取り除き、8月までに30分の1サイズのパネルに仕上げ、解説を加えて白山市内の教育施設で展示する予定。柳井特任教授は「世界ジオに認定されれば関心は高まる。現地に行かなくても詳しく分かるような内容にして、特に子どもたちの興味を育てたい」と話した。

 調査には白山市が協力する。

 ★桑島化石壁 白山市桑島の手取川右岸に露出している白亜紀前期の地層。明治時代、ドイツの地理学者ライン博士が植物化石を採集したことをきっかけに、国内で化石調査が進んだことから「日本地質学発祥の地」とされる。1986(昭和61)年には肉食恐竜の歯の化石が確認された。国天然記念物。

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