2000年前の甕棺 長崎・南島原で出土 市が一般公開に向け準備 「ロマン感じる」と市民ら期待

昨年12月に自転車歩行者専用道路予定地から出土した甕棺=南島原市有家町(市教委提供)

 長崎県南島原市が島原鉄道・旧南線の廃線跡地に整備している「市自転車歩行者専用道路」(旧加津佐駅-水無川手前・32キロ)の予定地の一部(同市有家町中須川)から昨年12月、出土した甕棺(かめかん)などを巡り、市は本年度中の一般公開に向け準備を進めている。市民からは「古代文化の発見にロマンと驚きを感じる」「出土品を自分の目でじっくり見学したい」と期待が寄せられている。

出土した甕棺の一部(市教委提供)

 同道路事業に伴い、市教委文化財課は昨年11月中旬から埋蔵文化財の発掘調査を実施。作業員が同12月5日、縦約1メートル、横0.75メートルの甕棺を発見し、同課学芸員が確認した。甕棺は遺体埋葬に使われた土器。甕棺墓は弥生時代前期以降、九州北部地域を中心に多数造られたとされる。甕棺墓3基のほか、石蓋木棺墓や土坑墓も見つかった。
 現在、出土品は埋蔵文化財整理室(同市深江町)に保管し、学芸員が整理・調査を進めている。市幹部は当初「今年3月にも市民向けに公開したい」と話していたが、同課は「土器の破片の接合など復元には慎重を要する。年度中に報告書を作成。準備が整い次第、一般公開したい」としている。
 同市口之津町の無職、松尾壽春さん(79)は「約2千年も昔のものが身近な場所に埋まっていることに驚いた。自転車歩行者専用道路付近を含め、島原半島には多くの貴重な遺跡があるのでは。地域の歴史と文化に関心を持つ絶好の機会にしてほしい」と話している。

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