トンネル多い路線だから…通過直後のまぶしさ、眼精疲労防げ 智頭急行、運転士にサングラス貸与

サングラスを着用する智頭急行の運転士=鳥取県八頭郡智頭町

 京阪神や岡山県と鳥取県を結ぶ智頭急行(鳥取県)が今月1日から、運転士に偏光レンズのサングラスを貸与してかけてもらう試みを始めた。同急行の智頭線は総延長の44%がトンネルのため、暗いトンネルを抜けた直後の日光によるまぶしさや、明暗の差による眼精疲労を軽減する狙いがある。

 智頭線は、上郡駅(兵庫県上郡町)-智頭駅(鳥取県)を結ぶ路線。長さは南北56.1キロで、うち24.5キロはトンネルが占める。沿線は雪が積もる地域も多く、積雪の反射光も運転士を悩ませてきたという。

 サングラスは、偏光レンズメーカー・タレックス(大阪市生野区)の製品を採用。特急を含む全列車の運転士のうち、希望者に貸し出している。トンネル内や業務時間外は適宜サングラスを外す。試行期間は30日までで、まぶしさの軽減や視認性の向上などの効果があれば、本格的に導入する。

 タレックスによると、鉄道業界では運転士のサングラス着用を認める会社が、年々増えているという。JR西日本は、2020年から近畿エリアの在来線運転士にサングラスの貸与を開始。21年には新幹線の運転士も対象とした。関東でも京浜急行電鉄が4月に採用するなど、全国的に利用の機運が高まっている。

 一方、乗降時に接客が生じる路線バスなどでは、導入をためらう企業もまだ多い。智頭急行もワンマン列車の運行が多く、「ファッションと思われる可能性への懸念も多少あった」と、担当者。だが今月19日時点で、利用客からの批判は寄せられていないという。

 着用した運転士の田中清章さん(37)は「信号や看板もしっかり見えた。日の出や日没時など、要注意の時間帯に重宝しそう」と話した。(真鍋 愛)

© 株式会社神戸新聞社