片手でも「ドローン飛ばせたらおもろい」 左半身まひの男性、懸命に技術習得 国家資格への挑戦続く

ドローン操縦の民間資格を取得した畑山哲人さん=三木市内

 左半身まひと高次脳機能障害と闘いながら、ドローンの民間操縦資格を取得した男性がいる。特定非営利法人「ベンチマークぷらす」代表の畑山哲人さん(49)=兵庫県小野市。今年2月、神戸市に拠点があるドローンスクールのドアをたたき、講習に没頭。片手で器用に操縦する方法を身に付けた。畑山さんは「障害者がドローンを使い、健常者と同じくらいの賃金を得られるように頑張りたい」と意気込んでいる。(杉山雅崇)

 畑山さんは2010年8月、脳出血により自宅で倒れた。当初は全身が思うように動かせず、左半身のまひと高次脳機能障害が残ったが、懸命のリハビリで日常生活を送れるレベルにまで回復。15年には障害者の就労継続支援などを担うベンチマークぷらすを立ち上げた。

 ドローンに着目したのは昨年12月のこと。知人を通じて、さまざまな分野で活用されているドローンと、操縦士を養成する講座の存在を知った。「障害者が資格取ってドローン飛ばせたらおもろいな」。資格取得を決意し、年が明けてすぐ、国土交通省認可管理団体の講習機関「TWSM-JAPAN」を訪れた。

 スクールのスタッフは当初難色を示した。コントローラーは両手で操作する。片手しか動かせない人の操縦は困難を極めるからだ。

 だが、畑山さんは引き下がらなかった。その場でコントローラーを借り、片手で器用にボタン類を操作。なんとかドローンを室内で飛ばして見せると、スタッフたちは驚き、大きな拍手を送った。「一緒にやってみよう」と畑山さんの講座受講を認めた。

 それから畑山さんは技術習得に熱中した。定められた講習のほか、淡路島での「自主練」にも挑戦。片手でボタンやスティックを器用に操作するすべを身に付け、同講座が規定する民間資格の「無人航空機操縦技能証明書」取得を果たした。

 今後も、国家資格への挑戦に向けて努力を続けるつもりだ。障害や片手での操縦が課題になりそうだが、畑山さんは「ドローンの国家資格を取ることができれば、私たちの活躍の幅はさらに広がり、障害者がお金を稼ぐ手段が増える。可能性を大きくするため、ドローン技術をさらに高めたい」と力を込めた。

© 株式会社神戸新聞社