事件記録廃棄で兵庫県知事がコメント 最高裁の遺族への説明「心情に寄り添い丁寧に」

兵庫県の斎藤元彦知事

 重大少年事件の記録廃棄問題で、最高裁判所が責任を認めて謝罪したのを受け、兵庫県の斎藤元彦知事は26日、コメントを発表した。神戸連続児童殺傷事件の遺族である土師(はせ)守さんに最高裁が説明の機会を設けることについて、「心情に寄り添った丁寧な説明が行われることを期待する」とした。

 今後については「歴史的、社会的な意義を有する記録が後世へ確実に引き継がれる」よう注文。裁判所に記録保存の意識が希薄だった点を念頭に、「被害者の心情理解や配慮の視点を重視した対応への見直し」も強く求めた。

 コメント全文は以下の通り。

 5月25日に、最高裁判所が「裁判所の記録の保存・廃棄の在り方に関する調査報告書」を公表しました。兵庫県では、神戸連続児童殺傷事件の当事者遺族である土師守氏にも検討委員会に参画をいただきながら、今年4月に「犯罪被害者等の権利利益の保護等を図るための施策の推進に関する条例」を制定しました。

 昨年11月24日には、検討委員会とともに、最高裁判所に対し、事件記録が廃棄された経緯等に係る厳格な調査および公表、犯罪被害者遺族への丁寧な説明などを求めてきたところです。

 今回の報告書では、最高裁判所による不適切な対応に起因していることを認め、適切な運用が確保されるよう態勢整備を行うことが示されました。今後、最高裁判所が土師守氏に同報告書について説明する機会をもたれるとのことであり、犯罪被害者やそのご遺族の心情に寄り添った丁寧な説明が行われることを期待します。

 本件を契機に、裁判所において歴史的、社会的な意義を有する記録が後世へ確実に引き継がれるとともに、被害者の心情理解や配慮の視点を重視した対応への見直しが図られることを強く願います。

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