仏像、未解明の出土品…X線CT装置で内部を調査 福井県立一乗谷朝倉氏遺跡博物館が1億円かけて導入

新たに導入された文化財調査用のエックス線CT装置(奥)と画像データ(左)=5月26日、福井県福井市の福井県立一乗谷朝倉氏遺跡博物館分館

 福井県立一乗谷朝倉氏遺跡博物館(福井県福井市)は5月26日、出土品などの科学的な調査に向けて導入した最新のエックス線コンピューター断層撮影(CT)装置を報道関係者に公開した。仏像や金属製品といった文化財を壊さずに内部を観察でき、未解明の出土品の研究や適切な保存につなげる。同館は「詳細が分かっていない出土品は多く、新たな発見につながる」と期待している。

 同館の開館を機に、出土品の詳細な分析を本格的に進めようと約1億円かけて導入した。同館によると、歴史分野の博物館では北陸初という。

 装置は幅2.55メートル、奥行き1.77メートル、高さ2.35メートルの箱型。文化財にエックス線を360度から照射し、パソコン上に3次元の画像データを作成。内部の構造や修復の履歴などが把握することができる。直径54センチ、高さ1.1メートル、重さ100キロのものまで調査できるという。

 一乗谷朝倉氏遺跡の出土品は、長年の発掘調査により陶磁器や金属製品、木製品など約170万点に上る。特に金属製品は、さびに覆われて詳細が分からないことが多く、装置を使うことでさびの除去で本体を傷つけるリスクも低減できるという。

 同館の担当者によると、約50年前に出土した金属製品を新装置で調べた結果、小さい刀の持ち手部分と判明した。また、木製の仏像に和洋のくぎが使われていることが分かり、異なる時期に修復されたと推定したという。新装置は自治体や他の博物館などの文化財調査に限り、1時間7440円で利用できる。

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 新装置に関する一般向けの説明会を27、28日午後3時半から同館で開く。27日は「金属製品編」、28日は「木製品編」。問い合わせは同館=電話0776(41)7700。

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