経済的に困窮の妊婦支援、無料で健診や出産 NPO法人が京都の病院と提携

記者会見で抱負を述べる足立病院の畑山理事長(東京都千代田区・厚生労働省)

 新生児の遺棄や虐待死を防ごうと、京都市南区の第二足立病院と提携して妊婦が無料で出産できる事業を始めると、子育て支援に取り組む認定NPO法人フローレンス(東京都)が31日、発表した。経済的な困難を抱える妊婦を支援し、全国での展開を目指す。

 同NPOなどによると、2020年度に虐待死した0歳児は32人。遺棄や虐待死の背景には、予期せぬ妊娠をしても誰にも相談できず、経済的困窮や精神的な不安から医療機関を受診せず出産してしまうなど妊婦が社会的に孤立し、支援を受けられていない実態があるという。

 事業は6月1日からスタートし、支援対象は妊娠中期以降で経済的に困窮している人。医療機関で受診できずに悩む妊婦の相談を無料で受け付け、第二足立病院での妊婦健診の受診や出産の費用を同NPOが支払う。行政の支援につなぐなどして出産前後のケアもする。提携する医療機関については本年度中に10院を目標に募る。

 31日に厚生労働省で記者会見した足立病院の畑山博理事長は「困ったり、どうしようかと思ったらまず一度連絡をしてほしい」と呼びかけた。同NPOの担当者は「支援対象でなくても必要な社会資源につなげ、前向きに生きていけるように支援したい」と語った。

 問い合わせはNPO法人フローレンスのホームページから。

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