生活困窮者に無料の食事券 来店客からの寄付、架け橋に 宇都宮のNPO法人と中華料理店

「恩送りチケット」の第1号店となった「寿限無担々麺」の江さん(右)とフードバンクうつのみやの木下一成副理事長=30日午後、宇都宮市馬場通り2丁目

 NPO法人「フードバンクうつのみや」と栃木県宇都宮市馬場通り2丁目の中華料理店「寿限無(じゅげむ)担々麺」は1日から、来店客が善意で購入した食事券を生活困窮者らが無料で使うことができる「恩送りチケット」を始める。お店が寄付の架け橋となる取り組みで、将来的には受けた親切が別の誰かにつながっていくことを期待している。

 恩送りチケットは1枚千円で、担々麺か酸辣麺、ワンタン麺のうち1種類と、白米、ゆで卵、ギョーザ2個のセットを食べられる。

 取り組みに賛同した客は店でチケットを購入する。メッセージを書き込み、店内のホワイトボードに掲示する。生活が苦しい人らは来店時、掲示されたチケットを使って食事ができる。使用したチケットに感謝などの思いを書き加えて張り出す。ホワイトボードが掲示板の役割も果たす。

 店主で中国出身の江小涛(こうしょうとう)さん(42)が1月、親交のある同フードバンクに話を持ちかけたのがきっかけ。江さんは「22年前に宇都宮へ来てから、多くの人に恩をもらった。困っている人の助けになりたい」と話す。提供するギョーザは店からのサービスだ。

 店で未使用のチケットがたまった場合は同フードバンクで配布する。担当者は「温かくて、元気の出る食事をおなかいっぱい食べてほしい」と呼びかける。店側の負担が少ない持続可能な取り組みと説明し、「まずは宇都宮市内で参加店を広めたい」と語った。

 同店は月曜定休。(問)フードバンクうつのみや028.622.0021。

 

「寿限無担々麺」で使える恩送りチケット。購入者と利用者それぞれがメッセージを書き込む欄がある

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