脳性まひの久門さん、社会福祉士として奮闘 「一人一人に寄り添えるように」【大分県】

「社会福祉士は福祉関係者の連携のハブになる仕事」と意欲を燃やす久門健太さん

 【別府】脳性まひのため電動車いすで生活する別府市の久門健太さん(22)が、今春から社会福祉士として、地域の障害者の生活を支援している。県社会福祉士会によると、重度の障害がある人が同会に登録するのは初めて。「もっと経験を積んで人としても成長し、一人一人に寄り添えるようになりたい」と張り切っている。

 久門さんは新生児仮死蘇生により、844グラムで生まれた。小さい頃から福祉サービスが身近だった経験を生かし、「自分も誰かの力になりたい」と高校から社会福祉士を目指し、別府大人間関係学科に進学した。

 新型コロナウイルス禍で思うように通学はできなかったものの、仲間と励まし合いながら、資格取得に向け、努力を重ねた。そのかいあり、福岡市で2月にあった国家試験では、合格率3~4割の壁を初挑戦で突破した。

 「県内では受験できないなど、まだまだ課題はあるが、間口が広がり、間違いなく後進の励みになった」と県社会福祉士会。

 4月からは、放課後等デイサービスや地域相談支援センターなどを運営する別府市のリフライ(前田哲矢社長)に就職。時短勤務や在宅ワークの制度も活用しながら、支援会議への出席など外回りの仕事にも積極的に取り組んでいる。

 上司で、自身も障害がある河野龍児さん(54)は「地域に溶け込んで育っただけあって知り合いも多く、熱心に学び吸収力が高い」と期待を寄せる。

 次の目標は、実務経験を積み、相談支援専門員の資格を取得すること。久門さんは「年齢や考え方、家族関係など、障害者の置かれた環境や課題はさまざま。それらをきちんと理解し、その人ならではの幸せに近づく手伝いができたらうれしい」と話している。

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