金沢美大、学食運営に苦慮 コロナで3年前に業者撤退

金沢美大の学生食堂。現在は弁当やパンの販売のみを行っている=同大

  ●新キャンパス、7月にも募集開始

 金沢美大が学生食堂の運営に苦慮している。新型コロナの影響で約3年前に業者が撤退して以降、食堂では食事を提供せず、弁当やパンの販売でしのいでいるのが現状だ。同大は10月に移転する新キャンパスの食堂運営事業者を7月にも募集する予定だが、総合大学と比べて学生数が少ない美大は採算を確保しづらい側面があり、学内では新たな食空間の担い手確保を心配する向きもある。

 美大の現キャンパスの食堂は広さ約238平方メートル。金沢市役所の食堂を運営する「エム・コックサービス」が1971年から手掛けていたが、20年春に新型コロナで休校が続いたため撤退した。

 以降はコロナ禍が長引いたこともあり、大学側は運営業者を募集しなかった。現在、食堂では昼食の時間帯に地元の中華料理店やパン店が弁当などを販売しているほか、売店でおにぎりやカップ麺も扱うことで学生の昼食ニーズをカバーしている。

 美大によると、大学は夏休みや春休みで営業できない期間が長く、通年で安定した利益を得るのが難しい。その上、同大の学生数(今年度)は修士課程や博士後期課程を含めて約720人で、このうち食堂を利用するのは100人程度と少なく、売り上げ規模を追求するのも難しい。

  ●開放的「ラウンジ」に 一般の利用など検討

 10月に小立野2丁目の金大工学部跡地に移転する新キャンパスの食堂は広さ約347平方メートルで、現在の約1.5倍となる。ガラス張りの開放的な空間で、「学生ラウンジ」と銘打ち、食堂という雰囲気でなく、学生が飲食を楽しみながら、くつろげるスペースとする考えだ。

 美大はラウンジのほか、売店や自販機の運営事業者も募集する。担当者は新キャンパスが県立図書館の向かいにあることに触れ「一般の人たちが利用できるようにすることを含めて、ラウンジの活用方法を検討したい」と話した。

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