JR西、全ての通勤車両に防犯カメラ整備 新快速含む京阪神の主な路線2800両「安心安全へ必要」

京阪神地区を走る通勤列車の車内に設置された防犯カメラ(JR西日本提供)

 JR西日本は12日、新快速を含む京阪神地区の主な路線を走る全ての通勤列車で、2027年度末までに防犯カメラを取り付けると発表した。「こうのとり」や「きのさき」「はまかぜ」などの特急は、24年度末までに設置を終える。

 JR西は、東京の京王線などで21年に相次いだ車内での乗客刺傷事件を受け、カメラの設置を開始。対象約2800両のうち、今年6月末時点で約33%に整備し、23年度末に半数に達する見込み。兵庫県内では神戸線(尼崎-姫路)と宝塚線(尼崎-篠山口)、和田岬線の車両に取り付ける。

 新快速と関空・紀州路快速は23年度末の完了を目指し、6月末の整備率は約79%。山陽新幹線も全車両で23年度末に終えるとし、25年の大阪・関西万博で来場者の輸送を担う大阪環状線は24年度末までに整備する。

 国土交通省は鉄道車両の防犯カメラについて、新幹線と、1キロ当たりの1日平均利用者数(輸送密度)が10万人以上と乗客が多い大都市の路線を走る新造車両に設置を義務付ける方針を決めている。

 JR西の長谷川一明社長は12日の会見で「輸送密度が10万人より少ない線区でも京阪神地区は基本的に整備していく」とし、「政府の方針では(設置義務対象は)新造車両だが、既存車両でも整備する。東京での事件を踏まえ、安心安全な利用のために必要と判断した」と述べた。(大島光貴、西井由比子)

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