フィギュア坂本や三原も使用する兵庫唯一の通年型アイススケート場 機器故障で氷張れずも急ピッチで修復、半年ぶり再開へ

ひょうご西宮アイスアリーナの外観=12日午後、西宮市鳴尾浜1

 兵庫県内唯一の通年型アイススケート場で、トップ選手も練習拠点としている「ひょうご西宮アイスアリーナ」(同県西宮市鳴尾浜1)が機器の故障で氷を張れなくなり、1月から営業を中断している。6月に海外から部材が届き、急ピッチで修復。ようやく今月15日正午からの再開が決まった。遠方のリンクまで通わざるを得なかった利用者からは「やっと集中して練習できる」と安堵(あんど)の声が上がっている。(山岸洋介)

 同アリーナは2013年8月に開業。国際規格を満たすメインリンク(縦30メートル、横60メートル)と、初心者向けのサブリンク(縦10メートル、横30メートル)を併設し、フィギュアスケートのほか、アイスホッケーやショートトラックにも使える。県が無償提供した土地に一般社団法人「ひょうごスケート」が整備し、管理運営は東京のスケートリンク会社「パティネレジャー」に任されている。

 フィギュアでは、平昌五輪代表の田中刑事さんが昨年の引退まで練習拠点としていた。神戸市立ポートアイランドスポーツセンター(同市中央区)を拠点とする北京五輪銅メダリストの坂本花織選手(シスメックス)や、昨季のグランプリ(GP)ファイナル女王三原舞依選手(シスメックス)も、同センターが休業する夏季などに「ひょうご西宮アイスアリーナ」で滑っている。

 西口智寛支配人によると、トラブルが起きたのは今年1月9日。リンクの底に張り巡らされた直径1センチの冷却管に、冷媒となる液体が流れなくなり、厚さ約7センチの氷が解け始めた。原因は判然としないが、老朽化とみられる。

 同アリーナは翌日から営業を停止。関係者は、トップを目指すジュニア選手ら約100人や、スケート教室の生徒約250人への連絡、返金に追われた。

 西口支配人は「開業から約9年半。24時間365日ずっと氷を張りっぱなしだったので、相当な負荷がかかったと思う」。国内メーカーから「冷却管の調達には半年以上かかる」と言われたため、フィンランドから直接輸入。それでも届いたのは6月上旬だったという。

 冷却管を交換し、7月4日から約1週間かけて氷を張って、15日の営業再開にこぎつけた。

 日本スケート連盟の強化選手で、同アリーナを拠点とする垣内珀琉(はる)選手(17)=西宮市=は半年間、車で約1時間かかる関空アイスアリーナ(大阪府泉佐野市)などへ通った。「1日に45分しか滑れない日もあり、心身ともに苦しかった。地元で練習できるのはうれしい」と再開を喜ぶ。

 西口支配人は「利用者には申し訳なかった。多くの励ましをいただき、やっと再開できる。充実した環境で思い切り滑ってほしい」と話している。

 ひょうご西宮アイスアリーナTEL0798.41.3898

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