地元産レモン使い地域活性化を 長崎・島原農業高が和洋の商品開発 九州学校農業クラブ大会で発表へ

九州学校農業クラブ連盟発表大会に研究チームの一員として出場する(左から)レモッタを持つ竹葉さんと、レモドルを手にする荒木さん=島原農業高

 「島原半島産レモンで地域活性化を」。8月9、10日に島原市で開催される九州学校農業クラブ連盟発表大会に、県立島原農業高(同市下折橋町)の研究チームが本県代表として出場する。地元産レモンの果汁を使った洋菓子と、搾った後の果皮を色彩に再利用した和ろうそくの商品化に成功した約2年間の試行錯誤を発表する。
 農業クラブ大会は、農業系高校で活動する生徒が研究内容や専門技術などを競う。島原農業高は食品加工部の部員で研究チームを構成している。
 九州大会予選にあたる県大会は6月21日、島原市などで開催された。発表テーマは「島原半島産レモンで地域活性化プロジェクト~SDGs活動と和ろうそく文化の継承~」。資源活用や地域振興に関する「プロジェクト発表Ⅲ類」で最優秀賞を獲得した。
 南島原市南有馬町のかんきつ栽培農家「はじめ農園」から減農薬で育てたレモンの提供を受け、2021年4月から研究を進めた。
 取り組んだのは爽やかな酸味のレモン果汁入りタルト「レモッタ」。サクサクとした生地の上に、クリームとムースの2層の食感が楽しめるタルトで、22年7月に完成。チーズなど乳製品を作る際の副産物で通常は廃棄される「乳清(ホエイ)」もクリームに活用してこくを出し、国連の持続可能な開発目標(SDGs)に配慮した。レモッタは洋菓子店「梅月堂」(本店長崎市)と連携し各店で販売されている。
 22年7月からは、果汁を搾った後の果皮も利用できないかと、旧島原藩伝統の和ろうそくへの活用を模索。当初はハゼの実から精製されるろうの油分とレモン果皮の色素抽出液の水分がなじまなかったが、和ろうそく製造業「本多木蝋(もくろう)工業所」(島原市)の助言を受け、果皮を乾燥させパウダーにしたことで克服。レモン色の和ろうそくに仕上がった。「レモドル」の商品名で23年3月から、島原城の土産品店や同市内の直売所で販売されている。
 レモッタ開発に携わった竹葉寧流(しずる)さん(16)=食品サイエンス科2年=は「九州ではまだ島原の農業について知らない人も多いと思う。レモッタをきっかけにしてPRしていきたい」と意気込んでいる。和ろうそくを担当した荒木杏介(きょうすけ)さん=同科3年=(18)は「和ろうそくの作り手が少なくなっていることなど地域の課題も知ることができた。大学で食品開発についてさらに学びたい」と次なる目標を見つけたようだ。

島原農業高に生産したレモンを提供した馬場さん=南島原市、はじめ農園

 レモンを提供し、かんきつ類の加工にも取り組んでいる「はじめ農園」の馬場一会長(76)は「島原半島は県内有数の農業地域だが、後継者不足が深刻。若者の知恵と熱意で、農業に付加価値を生み出す農産加工業の底上げにつながれば」と期待している。
 九州学校農業クラブ連盟発表大会には、県内から同校と諫早農業高の計3チーム3個人が出場する。

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