秋田県内大雨被害 青森県内観光への影響懸念 五能線一部区間で再開見通せず

大雨で盛り土が流出し線路が宙づりになったJR五能線の鳥形-沢目間=17日、秋田県八峰町(JR秋田支社提供)

 15日から秋田県を中心に襲った記録的な大雨で、18日現在、青森県と秋田県を結ぶ一部の鉄路が途切れた状態となっている。JR五能線と奥羽線の秋田県側で盛り土流出などが発生し、五能線の一部区間では再開の見通しが立っていない。昨年8月の大雨では五能線が4カ月半にわたって不通になり、沿線の観光業が大打撃を受けた。青森県の観光関係者は「もうすぐ夏祭りシーズン。1日も早く再開を」と願っている。

 JR東日本秋田支社によると、五能線能代-深浦間で線路下の盛り土が数カ所で流出し、線路が宙に浮いた所も。土砂流入も数カ所ある上、現場確認できていない区間もあり、運転再開の見通しが立てられない状況だ。五能線経由で青森と秋田を結ぶ観光列車「リゾートしらかみ」は青森-深浦間で折り返し運転している。一方、奥羽線は青森-秋田間の特急つがるで弘前駅止まりになるなどの影響が出ていたが、19日から秋田以北の全線で運転再開の見込み。

 リゾートしらかみは、本県西海岸観光の柱の一つ。深浦町観光課の神林友広課長は「リゾートしらかみは(青森-秋田の)周遊が魅力の列車。客足が伸びてきただけに、冷や水を浴びせられた格好」と残念がる。

 大雨による設備の浸水で名物の露天風呂が利用停止中の同町の不老ふ死温泉の西﨑朋社長(同町観光協会代表理事)は「(自然災害は)仕方ないが、影響は大きい。JRには今回も早めの復旧をお願いしたい」。

 例年8月には青森ねぶた祭や弘前ねぷたまつり、五所川原立佞武多(たちねぷた)などに国内外から多くの観光客が訪れ県内を巡る。宿泊施設アオーネ白神十二湖(深浦町)の斉藤智晴支配人は「今のところ予約のキャンセルはそれほどないが、不通が長引くと影響が心配」と話し「大雨の後も十二湖の青池はきれいなまま。見に来てほしい」とPRする。

 津軽14市町村でつくる観光地域づくり法人クランピオニー津軽の笹田哲文専務理事は「白神山地の世界遺産登録30周年などの取り組みに影響が出なければいいが」と懸念。五能線沿線連絡協議会会長の佐々木孝昌・五所川原市長は「(五能線は)観光客の引き合いのある路線なので、JR秋田支社、そして協議会の沿線自治体としっかり連携し、早期復旧に協力できる体制を取っていきたい」と語った。

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