師弟の絆で実現 「アースシェイカー」西田さん、6年ぶり青森・三沢市でライブ

ライブ後、西田さん(中央手前)と記念写真に納まる出演者たち(福田さん提供)

 1980年代に全国で人気を呼んだロックバンド「EARTHSHAKER(アースシェイカー)」のボーカル西田昌史さん(64)が6月、青森県三沢市で6年ぶりのライブに臨んだ。企画したのは、かつてレッスン生として指導を受けた米軍三沢基地従業員福田貴子さん(53)。師弟の絆により実現した一夜限りのステージは、新型コロナウイルスの影響でまともに音楽活動ができなかったバンドマンや、苦境に立たされたライブ会場の経営者に大きな力を与えた。

 西田さんは歌手や音楽プロデューサーとして活躍。自身のバンド活動にも精力的に取り組んでいる。過去には人気バンド「T-BOLAN(ティーボラン)」のヒット曲「離したくはない」のアレンジを手がけた。

 そんな西田さんに憧れた福田さんは2013年から6年ほど、埼玉県内で開かれていたレッスン教室に新幹線で定期的に通い、発声法や歌い手としての心構えを学んだ。新型コロナの感染状況が落ち着きを見せた今年3月、西田さんから「国際色豊かで大好きな三沢でライブをしたい」と持ちかけられると、福田さんは準備に奔走。16、17年に続く3度目のライブを行うことが決まった。

 6月17日夜、創業10年目のライブハウス「MoonRiver(ムーンリバー)」には約60人が集合。西田さんの哀愁漂う弾き語りのほか、福田さんのつてで集まった急造バンド3組によるセッションが行われ大いに盛り上がった。最後に西田さんを囲んでの記念の写真撮影では、感極まる人の姿が。バンド1組のメンバーで、学生時代からずっとファンだったという三沢市のスーパー勤務水野拓史(ひろし)さん(59)は「熱い青春時代がよみがえった」と喜びをかみしめた。

 「箱」と呼ばれる場所を提供した側も、今後に期待を寄せる。支配人の菊地郁さん(64)によると、本格的なライブ開催は3年ぶりという。コロナ下では月の売り上げが数万円台に落ちたこともあった。「苦境に立たされ、何度やめようと思ったか。それでも周りの励ましを受け、耐えて耐えてやってきた。こうした本格的な公演が、もっともっと増えてほしい」と期待を込めて話した。

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