別府市の小学校「自校式」給食が終了、調理員に感謝の花束 新施設9月稼働へ【大分県】

児童から花束を受け取る給食調理員=20日、別府市石垣西の石垣小

 【別府】別府市内の小学校で20日、校内の調理場で給食を作る「自校式」が最終日を迎えた。市内の小中学校と幼稚園の給食を一括調理する市学校給食センター(原町)が稼働するため。長年携わった調理員は「子どもたちのおいしかったという声が聞けなくなるのは寂しい」と語った。

 自校式が終了したのは市内13の小学校。東山小と中学校7校の給食を作る共同調理場(南荘園町)の稼働も同日で終わった。

 石垣西の石垣小(勝河馨校長・420人)では調理員4人への感謝の会があり、児童の代表が花束を贈るなどした。

 調理員になって22年の猪原芳子さん(40)=山の手町=は、ピーマンなど苦みのある野菜も残さず食べてもらえるよう細かく切るなど、児童の反応を見て調理法を変えていくのが「自校式ならではだった」と振り返った。「子どもたちと顔を合わせることはなくなるが、残さず食べることを続けてほしい」と願った。

 給食のメニューではカレーライスが好きという萱嶋結奈さん(11)=6年=は「調理員の人と話す機会は少なかったが、食器を返却するときに『ごちそうさま』とあいさつするのを心がけていた」と話した。

 新センターからは給食の料理と同時に食器や食缶も配送され、各校が受け取る体制を整える必要がある。石垣小では児童が各クラスへ運ぶ際、目配りと声かけに当たる教職員を配置することを検討しているという。勝河校長(60)は「子どもたちに安心安全な給食を提供するのも使命の一つ。2学期からすぐに対応できるよう準備している」と話した。

 市教委によると、市内の自校式給食は1947年ごろ始まった。教育政策課は「機能が刷新された施設から、日本一おいしい給食を提供していく」と話した。

<メモ>

 共同調理場(南荘園町)は老朽化が進み、耐震化や文部科学省の衛生管理基準を満たしておらず、建て替えが急務だった。一方、各小学校の単独調理場は衛生管理や食物アレルギー対応の観点から改修が必要となっていた。

■地元産野菜の使用率、10年で100%目指す

 別府市教委は10月から、小中学校の給食に地元産の野菜を増やす。特定の品目の使用率に目標値を設定し、今後10年で100%にする方針。本年度は使用率10%を目指す。給食を通して別府の地域性や農作物について学び、関心を高めるのが狙い。新学校給食センターが9月から稼働するのに合わせた取り組み。

 市教委は本年度、使用率を上げる地元産野菜の対象として▽サツマイモ▽ニンジン▽キュウリ▽小松菜―など10品目を指定した。別府の気候、土壌や現在の生産状況から選んだ。

 市教委教育政策課によると、学校給食で別府産の食材の使用率は肉や魚を含め4.4%(2021年度)だった。野菜栽培には協力農家として市内14事業者が参加している。

 市教委は本年度以降、使用率の段階的な引き上げをする方針で、来年度は使用率20%が目標。同課は「給食で別府の旬の農産物を使い、食育につなげていく」と話している。

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