いじめ早期解決を目指す新プロジェクト 静岡・湖西市が県内初の取り組み

不適切ないじめ対応を行ったと指摘された静岡・湖西市は、いじめの早期解決を目指した新プロジェクトを進めています。湖西市が目指す県内初の取り組みとは?

2022年3月、謝罪会見を開いた浜松市教育委員会。2023年6月、湖西市でも…

(湖西市教委)

「本当に申し訳ございませんでした」

いずれの市も、市内で発生したいじめの対応について第三者調査委員会から市教委や学校の不適切な対応を指摘されました。教師や学校に子どもがSOSを出しても助けてもらえないことがある現実。これは全国で大きな課題となっています。

この課題の解決に向け一歩を踏みだしたのが湖西市です。いじめの早期解決を掲げ影山市長をトップとする市職員によるプロジェクトチームを結成。その第一歩となる動きが先週、大阪でありました。独自のいじめ対応で全国から注目を集める寝屋川市を視察に訪れたのです。

(湖西市 影山市長)

「子どもたちのいじめがなくなること、予防されること、早期発見、早期解決が大事だと思っている、本日は勉強させていただければと思っている、よろしくお願いいたします」

寝屋川市では、2019年から独自のいじめ防止対応を進め相談のあった900件以上のいじめのすべてを、なんと1か月以内にやめさせています。私たちは、2022年その取り組みを取材していました。寝屋川市が設置したのはいじめ対応を専門とする市長直轄の部署「監察課」です。

一般的な自治体ではいじめ問題に対しては教育委員会が対応します。しかし、寝屋川市は「監察課」を設置し「市教委」と「監察課」がそれぞれ対応しているのです。

(寝屋川市 監察課職員)

「教師にとってはいじめをしている児童生徒、いじめられている児童生徒は同じ児童生徒という枠組みで考える、監察課は行為について被害児童、加害児童という明確に区分して対応している、いじめの即刻停止を主軸にやっている」

力を入れているのが「攻めの情報収集」。毎月、全ての小中学校にポストに投函するだけでいじめを通報できるチラシを配布。子どもが助けを求めれば早ければその日のうちに「監察課」が学校へ駆け付け学校、被害者、加害者などに聞き取りをしていじめをやめるよう指導します。それでも問題が解決しない場合は加害者の出席停止やクラス替えなどを市教委や学校に勧告することもあるのです。

(寝屋川市 広瀬市長)

「学校でいじめ問題を扱う時は教育的指導で人間関係を再構築することを目的とする、これでいじめの99%は解決しているけれども、時間がかかる人間関係の再構築は短時間でできない」「全く別の2ルートを用意することで子どもや保護者が最も望むかたちをとることができる」

いじめを受けた子どもから監察課への相談は設置当初の2倍に増え、全国から自治体や議員が週に一度ほどのペースで視察に訪れるようになったといいます。寝屋川の取り組みを視察した湖西市は2024年4月に、県内初となる市長直轄のいじめ対応組織を立ち上げる方針です。

(湖西市 影山市長)

「早期での発見、解決というものを組織としてしっかり立ち上げて実行に移していきたいと考えています」

不適切ないじめ対応を繰り返さないための新たな取り組みは、いじめの早期解決につながるのでしょうか。

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