布引の滝で「何してはるん」身投げ寸前の90代女性を救助 女性3人が連携「献体を希望」封筒見逃さず 神戸

のじぎく賞を受賞した(右から)勝原香さん、大上朋子さん、伊東純子さん=葺合署

 布引の滝(神戸市中央区葺合町)に身を投げようとしていた90代の女性を、機転を利かせた連携プレーで助けたとして、葺合署は、いずれも垂水区に住む伊東純子さん(49)、大上朋子さん(61)、勝原香さん(57)の3人に県の善行賞「のじぎく賞」を贈った。女性と会話を重ねて安全を確保し、無事署員に託した。

 3人は10年来のランニング仲間。6月20日午前、滝つぼの近くにたたずむ女性を見かけた。一度は通り過ぎたが、高さ1メートルほどある落下防止用の柵を乗り越えた場所に立っていたため「何かおかしい」と違和感を覚えたという。

 「何してはるん」。伊東さんが声をかけると、女性は「ビワの実がなってるから見てる」と答えた。しかし、大上さんと勝原さんは、遺書の様な内容が書かれた書類や「献体を希望する」と書かれた封筒が女性の手押し車の中にあることを見逃さなかった。

 「いつ飛び込んでもおかしくない」と考えた3人は、女性を刺激しないよう和やかな会話を続けた。すると、女性は「実は死にたいんや」と打ち明けたという。伊東さんは女性に気づかれないように110番し、大上さんと勝原さんは、女性を安全な場所に移動させた。

 「警察の到着を待つ間も気が抜けず、女性の持参していたアルバムを見たり、歌を歌ったりと楽しい雰囲気をつくった」と3人。感謝状を受け取り「勇気を出して声をかけてよかった」と話した。 (大高 碧)

© 株式会社神戸新聞社