佐野らーめん予備校卒業生の出店加速 半年で4店開業 充実研修や支援後押し

6月、念願の店をオープンさせた小林さん

 栃木県佐野市の佐野らーめん予備校(若松町)の“卒業生”による出店が堅調だ。これまでに7店が開業し、このうち4店は昨年末からの約半年間に集中している。研修内容の充実度に加え、地元金融機関などによる創業支援、経営ノウハウの伝授を含めた既存店のバックアップも大きいという。市総合戦略推進室は「みんなで盛り上げ、ブランド価値を高めていこうという意識も出店を後押ししているのでは」と推測している。

 市によると、市内には「佐野らーめん」を掲げる店舗が約150店。地域グルメの規模としては国内屈指ともされる一方、店主の高齢化なども進んでいる。ブランド力の維持・向上に向け、後継者を含めた新規出店者の育成が大きな課題の一つとなっているという。

 こうした中で、同予備校は試行期間を経て2020年11月に開校した。現役店主らが講師となり基本から学べる。今春、実際に店を運営できるテストキッチンも開設した。

 試行期間を含め延べ20人が受講し、現在までに7人が出店を果たしている。新型コロナウイルス禍を経て、地域の外食産業にも活気が戻る中、昨年末から4人が出店した。さらに複数人が出店を視野に準備を進めているという。

 6月に開業した「加州屋(かずや)」(浅沼町)は市と佐野商工会議所、佐野信金、日本政策金融公庫佐野支店が連携し、創業を支援した。店主の小林加州也(こばやしかずや)さん(41)は各地で料理修業をした後、同予備校で学び、さらに市内屈指の人気店「ようすけ」で修業した。

 「佐野らーめんを極めよう」という意欲と確かな腕前が、今回の幅広い支援につながったという。小林さんは「感謝しかない。繁盛させることで恩返ししたい」と話している。

 また昨年末から開業した4人のうち2人が女性で、佐野らーめんに新たな風を吹き込んでくれるのではとの期待も高まっている。

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