暑さ軽減の生地増産 北陸の繊維企業 遮熱や通気性高く

小松マテーレが新たに開発した接触冷感生地=能美市内

  ●マテーレ、冷感素材開発 

 北陸の繊維企業で、接触冷感など暑さ対策となる生地の引き合いが高まっている。小松マテーレ(能美市)は、遮熱の機能を持った日傘生地の販売が伸び、新たに洋服向けの冷感素材も開発した。猛暑で全国的に熱中症警戒アラートが相次ぐ中、機能性の高い生地を開発する北陸産地の技術力が存在感を増しそうだ。

 「取引先から、冷感などの機能性を求める声が年々増えている」。小松マテーレの担当者は受注増の手応えをこう話す。

 遮光・遮熱に加え、UVカット機能も備えた日傘向けの生地は受注量が前年から3割伸び、増産態勢をとっている。

 取引先の要望に応えるため、首に巻く「ネッククーラー」などに使われる冷却素材を生地に加工する新たな技術を開発した。従来の接触冷感生地よりも「ひんやり」と感じられるとし、商品化を進めている。

 丸井織物(中能登町)では、通気性と伸縮性を兼ね備えた夏向けの高機能素材の売り上げが前年の倍ほどに膨らんだ。汗蒸れ対策と心地よさを両立させる織りの技術が人気を集めているという。

 独自素材を活用した製品事業に乗りだす企業もみられる。

 カジグループ(金沢市)は7月、自社ブランド「TO&FRO(トゥーアンドフロー)」から、和紙を使用したブランケットを発売した。和紙の持つ吸水性、吸湿性と通気性に着目した夏向けの商品として引き合いが出ている。

 小矢部市に生産拠点を置くゴールドウイン(東京)は、汗を早く乾かし、蒸れを軽減する機能を持つ素材「ネイチャーブリッド」を開発し、3日にTシャツの販売を始めた。

  ●暑さ対策グッズ好調

 小売店やホームセンターでも、暑さ対策グッズの売れ行きが好調だ。

 津幡町のプラント3津幡店では、熱中症や暑さ対策グッズの専用コーナーを例年よりも大きく展開し、手持ち用の小型扇風機や首に巻いて冷やす「ネッククーラー」の在庫がほとんどなくなった。

 6月にオープンした野々市市のホームセンタームサシ御経塚店では、小型ファンが付いた作業服が売れている。

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