ユニフォームの胸に付ける“チームの誇り”エンブレム。そのデザインの変更が成功する場合もあれば、反対に酷評され失敗に終わることもある。
ここでは、新デザインがファンに不人気だった8つのチームをご紹介しよう。
なかにはファンの反対の声を受け、実際に変更中止に追い込まれたケースも存在する。
ブレントフォード
2015-16 adidas ホーム ユニフォーム
2023-24 Umbro ホーム ユニフォーム
ブレントフォード(イングランド)は2017-18シーズンからエンブレムのデザインを変更。4分割柄の上にやや傾き加減でチーム名を配するスタイルから、中央に蜂を描いた丸型へとデザインを刷新した。
これはデジタル時代への対応を主目的とした変更だったのだが、クラシックなスタイルを愛するファンの不評を買ってしまった。また、怖さが感じられない新エンブレムの蜂の絵柄にも不満が多いらしい。
QPR
2007-08 le coq sportif ホーム ユニフォーム
2009-10 Lotto ホーム ユニフォーム
クイーンズ・パーク・レンジャーズ(イングランド)のエンブレムは“QPR”を並べたデザインが有名。だがクラブはより格調高いデザインを求めて2008-09シーズンから新エンブレムを導入し、伝統の丸型エンブレムを消し去ってしまった。
変更後のデザインもそれほど悪くないように見えるが、サポーターは断固として納得せず。結局16-17シーズンからエンブレムを再度変更し、“QPR”を並べる丸型の旧スタイルに戻している。
オーストリア
2016 Puma ホーム ユニフォーム
2022 Puma ホーム ユニフォーム
オーストリア代表は長きにわたり国章の黒鷲を、デザインほぼそのままでユニフォームの胸に取り付けてきた。この国章は国の歴史そのものでもあり、威厳に満ち溢れたデザインはユニフォームファンの間でも好評だった。
しかしオーストリアサッカー協会は2019年に新エンブレムを導入。まるで鳩のようにデフォルメされた黒鷲からは威厳の欠片も感じられず、不人気となっている。だが最大の失敗は古いスタイルのサッカーボールを描いてしまったことかもしれない。
ブリストル
2015-16 ホーム ユニフォーム
2022-23 ホーム ユニフォーム
ブリストル・シティ(イングランド)は2019-20シーズンから現在のアイコン化したエンブレムを使用する。
それ以前はユニコーンが特徴あるプリストル市の紋章を簡略化したクラシックなデザインだったが、180度方向転換してクラブの愛称にもなっているロビン(小鳥)をデザインした丸型へ変更。しかしファンの間からは弱々しいという声も聞かれた。
リーズ
2023-24 adidas ホーム ユニフォーム
リーズ・ユナイテッド(イングランド)の熱いサポーターがデザイン変更を阻止した。2018年に右側の新デザインを公表するとファンからは酷評の嵐に。文字通りの非難轟轟である。
どう見てもヤング・リーズなどの思い出が詰まったエンブレムを捨ててまで変えるようなデザインではなく、仮に自分が愛するチームで使われそうになれば誰もが全力で阻止するだろう。
結局変更は中止(棚上げ)となり、左側のエンブレムは今も使い続けられている。リーズのファンは声を上げることの大切さを教えてくれた。
カーディフ
2010-11 Puma ホーム ユニフォーム
2014-15 Cosway Sports ホーム ユニフォーム
ある意味ではイングランドサッカー史上最悪のエンブレム(とキットカラーの)変更だろう。それまで青い鳥のエンブレムを付けて青いユニフォームを着ていたチームを2012年、当時のオーナーが独断で赤い竜と赤のユニフォームに変えてしまった。
そのオーナーとは中国系マレーシア人(いわゆる華僑)のヴィンセント・タン氏。2010年にイングランドへ越境参戦するウェールズのクラブであるカーディフを買収し、2012年に中国圏で縁起が良いとされる赤をユニフォームの1stカラーに決めてしまう。
さらに青い鳥のエンブレムも赤い竜に変更。この竜自体はウェールズの象徴であり以前からエンブレムにも描かれていたが、タン氏の狙いは中国的な「赤い龍」のイメージだったのだろう。
当然サポーターは猛反発。結局“2つの赤”は3年で終了となり、2015年に再び青い鳥と青いユニフォームが戻ってきた。
フィオレンティーナ
2018-19 le coq sportif ホーム ユニフォーム
2023-24 Kappa アウェイ ユニフォーム
近年で最もガッカリしたエンブレム変更とも言われるフィオレンティーナのケース。90年代のセリエA黄金時代の象徴でもある縦長のエンブレムが2022年、時代の流れに合わせて正方形デザインへと変貌を遂げる。
旧エンブレムは1990年から使い続けていたもので、財政難で破産も経験したクラブの激動の歴史が詰まったデザイン。変更が決まるとサポーターの落胆ぶりは相当なものだった。
新デザインも図柄自体はそれほど悪いように見えないが、幾らかでも縦長なら少しは評価も違ったかもしれない。
ポーランド
2008 Nike ホーム ユニフォーム
2012 Nike ホーム ユニフォーム(EURO2012モデル)
あまり知られていないかもしれないが、ポーランド代表には史上最悪の丸型エンブレムが一瞬だけ登場したことがある。
EURO2012に向けたユニフォームでポーランドサッカー協会は、画像右の新エンブレム採用を決定。しかし公表されたデザインがファンの間で問題視され物議を醸すことに。
ポーランドといえば鷲のエンブレムだが、その鷲を丸くデフォルメした姿が「ジャガイモかよ!」と自国民から大ブーイングを浴びる。結果としてEURO2012で選手が着用するキットには、左胸の「じゃがいもエンブレム」と右胸のメーカーロゴの中間に旧デザインのエンブレムを装着。新旧ふたつのエンブレムが並ぶという異例の措置が取られた。
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この画像は発表当時の2012モデルの宣伝写真。見ての通り胸中央に旧エンブレムは付かず、初期ロットのレプリカユニフォームもそれは同じだった。
「じゃがいもエンブレム」はこの2012モデルが最初で最後となり、以降は再び鷲のエンブレムが胸に収まっている。
ちなみにポーランドは世界10位の生産量を誇る「じゃがいも大国」だったりする。
レアで懐かしいユニフォームが揃う「Qoly × LFB Vintage」。“あの頃”を思い出すユニの数々は見るだけでも楽しいはず!