被爆実相を漫才で表現 お笑いコンビ・アップダウン「想像することの大切さ」訴え

原爆を題材にした漫才を披露するアップダウンの竹森さん(左)、阿部さん=長与町民文化ホール

 お笑いコンビ「アップダウン」による、長崎の被爆者の経験を題材にした「原爆体験伝承漫才」の公演が13日、西彼長与町吉無田郷の町民文化ホールであり、来場者約500人が78年前の惨劇に思いをはせた。
 音楽などを通じて生命の尊さを考えるイベント「PEACE&SMILE」(MAY.R、MAHINALINO主催)で披露した。
 アップダウンは阿部浩貴さん(46)と竹森巧さん(45)のコンビ。原爆漫才は「長崎被災協・被爆二世の会・長崎」(山崎和幸会長)が創作を依頼し、原爆の実相を伝える新たな手法として2021年に初演。県内での公演は3回目。
 公演で2人は、冒頭に軽妙な掛け合いで会場の笑いを誘った後、原爆劇では一転し、原爆に遭って家族を失い、心の傷を抱えた少年らの姿を熱演。観客は真剣な表情で見入った。
 漫才を終え竹森さんは「被爆された方々は78年たった今も被害が続いている」、阿部さんは「被爆ということで差別を受け、心に深く傷を負った人が多くいる」と話した。その上で、日常や戦争、周囲の人たちについて思いを巡らすことが平和につながるとして「想像することの大切さ」を訴えた。
 このほか、地元のボーカルグループやダンスチームが平和などをテーマにした歌やダンスを披露した。

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