ペットの熱中症、肉球やけど対策は? たいすけ動物病院に聞く 地面に「5秒タッチ」で判断を

松尾院長とオウガくん=長崎市、たいすけ動物病院

 〈長崎新聞の情報窓口「ナガサキポスト」のLINE(ライン)に、暑い中、アスファルトの上を散歩する犬の熱中症や肉球やけどを心配する声が届いた。この時期の日中はアスファルトの表面温度が60度近くにまで上昇する。注意喚起の必要性を感じ、たいすけ動物病院(長崎市柳谷町)の松尾泰介院長(50)に注意点や心がけを聞いた〉

 ―夏場の散歩の工夫は。
 早朝や夜の涼しい時間帯を選び、日陰を歩くようにすることが基本。大切なペットの肉球が傷まないよう、散歩の前に飼い主が自分の手のひらと甲で地面を触り、それぞれ5秒間そのまま置いておけるかどうか。「5秒タッチ」を判断の目安にしてほしい。
 靴を履かせる方法もあるが、嫌がるペットも多く、蒸れて皮膚病になることも。首元に着けるジェルリングや水にぬらして着せることで体全体を効率よく冷やす服などを取り入れると効果的。外出先でも飲み水は欠かさないようにしたい。

 ―室内の熱中症対策は。
 自宅や車内でも注意が必要。クーラーで適切な温度を確保し、扇風機で空気を循環させる環境が望ましい。気温がそんなに高くなくても、湿度が60%以上の日は特に気を付けてほしい。

 ―犬種ごとの注意点は。
 頭蓋骨の長さに比べ鼻の長さが短いパグやフレンチブルドッグ、チワワなどは、もともと呼吸がしづらい特性がある。犬は全身に汗腺がないため、舌を出し「ハァハァ」と浅く速い呼吸で温度管理をするが、それも難しい。
 また、ゴールデンレトリバーやアメリカンコッカースパニエルなど、被毛が2層で密な犬種は熱がこもりやすく発散しにくい特徴があるため、こまめにブラッシングをして空気を入れてあげる必要がある。サマーカットも非常に有効。

 ―飼い主へ。
 熱中症による高体温が続くと全身の臓器にダメージを受け、多臓器不全などを引き起こし、命を落とすことも。熱中症が疑われる場合は、ぬらしたタオルを体にかけ、風を当ててあげて。他の病気である可能性もあるため、水を飲ませ、動けるようになったら、動物病院での受診をお勧めする。

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