「フィルタリング」利用を 長崎県警が携帯販売店へ啓発ボード配布 子どもを犯罪から守る第一歩

携帯電話販売店に配布しているフィルタリング啓発用ボード=県警本部

 子どもに有害なサイトやアプリの利用を制限するスマートフォンの「フィルタリング」。昨年、長崎県警が取り扱った事件で交流サイト(SNS)を通じて犯罪被害に遭った18歳未満は20人で、このうち19人がフィルタリングの利用を確認できなかった。県警は、県内の携帯電話販売店全店に啓発用ボードを配布し「子供を犯罪から守る第一歩」とフィルタリングを呼びかけている。
 「女の子同士だと思って下着姿の画像を交換したが、実は相手は男性。写真をばらまくと脅迫された」
 「SNSに『家出したい』と書き込んだら親切な人が声をかけてくれた。しかし相手の家に行ったら監禁されて性被害に遭った」
 啓発用ボードでは県内で実際に起きた性犯罪を紹介。犯罪被害に遭った18歳未満の人数や、ネット上に潜む危険をイラストで分かりやすく説明している。
 県警人身安全・少年課によると、昨年被害に遭った20人の内訳は中学生12人、高校生6人、小学生2人。特に増えているのが児童ポルノ被害で、昨年は前年比10人増の17人だった。
 フィルタリングは、犯罪被害を防止するため、アダルトサイトや犯罪につながりそうなサイトのほか、情報収集・発信ツールとして多くの人が利用するX(旧ツイッター)などSNSへの接続も制限する。
 同課少年対策室の相川友理子室長は「家庭によっては子どもに言われて、つい外してしまうこともあるだろう」としつつ、「フィルタリングをかけずにSNSを使わせることは、無防備な状態で危険の中に子どもを放り出すことと同じ」と警鐘を鳴らす。
 年齢などに応じて段階的な制限も可能で「まずはフィルタリングをして携帯電話の正しい使い方を学んだり、保護者の監督の下で使ったりすることが被害抑止につながる」と話す。

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