政府が東京電力福島第1原発の処理水を24日から海洋放出すると決めた22日、岩手県内の漁業関係者からは風評被害の拡大を懸念する声が相次いだ。放出自体には反対しつつ「福島の復興のためにやむを得ない」と受け止める人も。国に対し、海や食の安全性の発信、補償の具体化など対策強化を求める意見も目立つ。県内を来訪する外国人観光客が増加しているタイミングでもあり、観光・飲食業界も影響を注視する。
大船渡市末崎町の漁港では22日、強い日差しの下、漁業者がいつものように定置網の修繕作業に汗を流していた。地元の漁業大和田勝博さん(59)は、多くのタンクに貯蔵している処理水を「あのまま残しておくわけにはいかないだろう」と一定の理解を示す。
ただ、浜は近年、主要魚種の不漁が続く厳しい状況に置かれており「われわれが取った魚が風評被害で売れない、安くなるでは困る。政府は安心で安全であることを国内外に説明してほしい」と求める。