<レスリング>2023年東アジア・ユース大会(モンゴル)出場の日本チームが帰国

 

 8月21~22日にモンゴル・ウランバートルで行われた第2回東アジア・ユース大会に出場した日本チームが8月23日、成田空港に帰国した。男女各6選手が出場し、男子は全階級制覇、女子は「金4・銀2」という成績だった(注=第1回は中止されているため、実質的に第1回大会)。

▲モンゴルから帰国した日本チーム

 舩越光子監督(下野サンダーキッズ代表)は「すばらしい成績だったと思います。特に男子の全階級制覇は、選手のコンディション作りの賜物(たまもの)です。女子もしっかりやっていましたが、その上をいく素晴らしさ。そこからくる集中力の高め方には目を見張るべきものがありました」と振り返った。

 外国選手のレベルが低かったか、と言えば、そんなことはなく、地元のモンゴルをはじめ、U17アジア選手権やU17世界選手権よりこの大会にかけていると思えたほど。実際に「ベストメンバー」と言っていた国もあったそうで、出場選手数は少なくとも選手の質は高く、「スコアからすれば楽勝と思えても、実力は拮抗(きっこう=優劣がないこと)している試合も多かった。そこを勝ち抜けたのは、コンディション作りと団結のおかげ」と、勝利の要因を話した。

 最大で5ヶ国なので、どの階級もリーグ戦。トーナメントにはない厳しさがあり、闘い終えた選手は「みんな、ぐったりしていた」と言う。こうした闘いを勝ち抜けたことが、選手達の今後につながるのは言うまでもない。

▲成田空港での解団式。右端が舩越光子監督

 総合大会の独特のムードも、選手の気持ちを後押しした。空港に垂れ幕やビジョンによる告知宣伝があり、試合や試合会場の様子が即座に大会SNSにアップされ、会場の外にはゲルがあって民族衣装を着せてくれるなど、“ミニ・オリンピック”という雰囲気。日本オリンピック委員会(JOC)のスタッフが激励に訪れるのも、通常のレスリングの大会とは違うこと。「(選手はジャージに)オリンピックマークをつけて、誇らしそうでした。いい経験でした」と話した。

 もちろん、バスの移動で長時間待たされるなど、外国ではよくある“トラブル”も少なくなかった。朝の気温が11度と、夏の日本とは大違いの気候だったが、全員がU17世界選手権などの国際大会を経験しているだけに、「淡々としたものだった」とか。国際大会慣れしている選手達の今後が楽しみな様子だった。


 ■男子65kg級優勝・ガレダギ敬一主将(JOCエリートアカデミー/東京・帝京高)「全選手金メダルはびっくりしました。みんな、総合大会に挑む気合が違っていました。だれもが自信満々でしたので、(キャプテンとしては)楽でしたね。

(自分の優勝は)シンプルにうれしいです。U17世界選手権は8位だったので、その悔しい気持ちをぶつけました。選手数は少なくとも、モンゴルとか強い国もいて、気は抜けませんでした。自分から攻めることができ、気持ちも前に出ていたことが優勝の要因だったと思います。自信になります。次の試合は(国体予選に負けているので)4月のJOC杯になるかと思います。ウエートトレーニングをしっかりして体を作り、来年のU20で勝てるように頑張りたい」

▲男子チーム


 ■女子53kg級優勝・尾西桜主将(埼玉・埼玉栄高=唯一の高校3年生)「試合前に、後輩たちに前向きな言葉をかけたり、励ましたりしましたが、頼もしい選手ばかりでしたので助かりました。(リモートで)結団式があり、他競技の選手と移動も一緒だったりして、全競技の選手と一緒に闘うというチームジャパンとしての意識がありました。日の丸の責任感を重く感じ、いい経験でした。

 この夏は、インターハイ、U17世界選手権、今大会とハードスケジュールでしたけど、3大会すべてに優勝できて、素直にうれしく、喜びは強いです。U17の世界チャンピオンとして臨んだ試合だったので、勝たなければいけない、という気持ちは強かったです。中国が出てきたので警戒感がありましたけど、自分を信じて強い気持ちをもって臨むことができたのがよかったです」

▲女子チーム

 

 

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