初の県営処分場完成 那珂川のエコグリーンとちぎ 産廃不法投棄から33年

完成した「エコグリーンとちぎ」を見学する関係者たち=23日午後3時25分、那珂川町和見

 栃木県が那珂川町で整備を進めていた県営管理型産業廃棄物最終処分場「エコグリーンとちぎ」が完成し、23日に記念式典と現地視察が行われた。有害物質が水にしみ出る恐れのある管理型産廃を埋め立てる県内初の最終処分場となる。建設のきっかけになった同町での産廃大量不法投棄事件から33年。地元の反対運動や度重なる計画変更など曲折を経て、処分場は9月中旬から稼働する見通しだ。

 同処分場は同町和見、小口地区にまたがり、燃えがらや汚泥、木くずなどの産廃を埋め立てる。容量は約60万立方メートル。民間資金活用による社会資本整備(PFI)を導入し、事業体「クリーンテックとちぎ」が設計・建設から運営、維持管理までを担う。総事業費は約130億円。

 粉じんの飛散や騒音などを屋根や壁で抑制する「クローズド型」である点などが特徴。同型としては鹿児島県や熊本県の施設に次ぐ全国最大規模となる。稼働後は水質のモニタリング検査を実施するほか、住民らで構成する「安全推進協議会」が施設の管理・運営状況を監視する。

 処分場の建設計画は1990年に旧馬頭町で大量の不法投棄物が見つかったことで設置の機運が高まり、県や町などが調整を進めてきた。処分場では現在も残されている産廃と県内の管理型産廃を受け入れ、埋め立て期間は12年の予定。

 この日の式典には福田富一(ふくだとみかず)知事や福島泰夫(ふくしまやすお)町長、地元住民、業界関係者ら約100人が出席。福田知事は「安全安心で信頼され、未来に誇れる処分場にしたい」とあいさつした。

 福島町長は「長年の懸案だった大量不法投棄物が少しでも早く撤去されることを心から願う」と述べた。式典後、出席者はエコグリーンとちぎの施設内外を見学した。

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