鳥越城、激戦の跡「面白い」 山城好きの春風亭昇太さん

本丸跡を視察する春風亭昇太さん(左)=白山市の鳥越城跡

  ●一向一揆最後の砦を視察

 山城愛好家として知られる落語家の春風亭昇太さんが24日、織田信長軍と戦った加賀一向一揆の最後の砦「鳥越城跡」(白山市、国史跡)を視察した。本紙連載「百姓ノ持(もち)タル国の百年」の取材の一環で招き、昇太さんは地形を生かした「堀切(ほりきり)」などの防御施設や、本丸の遺構などを玄人目線で確認。全国600以上の山城を踏査した経験から「一揆軍と織田軍が城を奪い合った形跡が『年輪』のように残っているのが面白い。山城好きなら誰もが一度は見たい場所」と歴史的価値に太鼓判を押した。

 昇太さんは人気テレビ番組「笑点」の司会などを務める一方、各地の中世城郭調査にも関わっている。国史跡「加越国境城跡群(かえつくにざかいしろあとぐん)及び道」の調査整備指導委員会顧問として、このほど、富山県境の松根城(金沢市松根町)に鉄壁の大堀切があったことなども確認した。

 鳥越城は、一度は織田軍に占拠されるも、一揆軍が奪還し、最後は織田方の猛将・佐久間盛政によって陥落した。その激戦を物語るように、本丸跡では建物の基礎構造などに一揆軍の造作と織田軍の様式が混在している点が特徴となっている。

 復元された本丸の遺構などを確かめた昇太さんは、「実際に戦闘が行われた山城の現存例は全国的にも数少ない。一向一揆の歴史を考える上で、ものすごく重要な史跡だと思う」と強調した。

 鳥越城跡が現在、大雨被害の復旧作業で立ち入り禁止になっていることについては、「鳥越城はきれいに整備され、遺構も大規模で見応えがある。全国の山城好きが来られるように、早い復旧を願っている」とエールを送った。一般公開の再開時期は未定となっている。

 今回の視察は、白山市の許可を得て、安全対策を行った上で実施した。昇太さんは鳥越城のそばにある一向一揆勢の拠点「二曲(ふとげ)城跡」にも足を運んだ。

 ★鳥越城跡 戦国時代、織田信長軍の侵攻に最後まで抗戦した一向一揆の拠点。標高312メートルの丘陵地に築かれ、本丸を中心に六つの曲輪(くるわ)で構成される。切り立った崖地を利用した中世山城の典型で、2017年に「続日本100名城」に選ばれた。

春風亭昇太さん

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