ILC関連予算10.5億円要求へ 24年度に加速器の性能向上図る

 【東京支社】文部科学省は2024年度予算の概算要求案で、国際リニアコライダー(ILC)に関連し、23年度当初予算から8千万円増の10億5千万円を盛り込む方向で調整している。

 先月発足したILCテクノロジーネットワークによる国際的な協力枠組みを活用し、先端加速器の性能向上を図る。技術開発費などとして、23年度と同額の7億円を想定。電子と陽電子のビームをほぼ光の速さまで加速させる加速器の根幹となる粒子の発生、加速・制御に関する技術の向上に力を入れる。将来を担う若手研究者の育成に役立つ研究開発も支援する。

 このほか高エネルギー加速器研究機構(KEK、茨城県つくば市)の運営費交付金として、23年度比で8千万円増の3億5千万円を盛り込む方針だ。

 ILCは宇宙創生の謎に迫る素粒子物理学の巨大実験施設。地下100メートルに直線形の加速器(初期延長約20キロ)を設置する。13年に岩手、宮城両県にまたがる北上山地(北上高地)が世界最有力の候補地に絞り込まれ、日本政府が誘致の可否を検討している。

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