ユネスコで牛首紬発信 「白山手取川」認定舞台で モロッコで7日から会議

坂本特任助教に着付けを指導する住民=白山市白峰のライン館

  ●田村白山市長ら着用

 国連教育科学文化機関(ユネスコ)は7~9日、モロッコ・マラケシュで開く国際会議で、日本国内10例目の世界ジオパークである「白山手取川ジオ」に認定証を交付する。会議には白山市から田村敏和市長が出席し、石川県指定無形文化財「牛首紬」の着物姿で山麓伝統の絹織物をトップセールスする予定で、地元住民は「郷土の宝を世界中に広めてほしい」と期待を寄せる。

 世界ジオパークには48カ国・195カ所が認定を受けている。各地の代表者が集まる国際会議では、それぞれの地域が環境保護に関する活動のほか、学術や産業、教育の取り組みについて意見発表する。

 白山手取川からは、同ジオパーク推進協議会長の田村市長をはじめ、池元勝市議会副議長、東大地域未来社会連携研究機構「ライン館」(白峰)の坂本貴啓特任助教らが出席する。世界ジオの認定証を受け取る9日の閉会セレモニーと、その後のパーティーで牛首紬の着物に袖を通し、知名度の向上につなげる。

  ●白峰住民が用意

 牛首紬の着物や帯は、白峰地区の寺院や住民が用意した。1日には、住民が坂本特任助教らに帯の締め方や下着に当たる「じゅばん」の着方などを教え、「着心地の良さを世界にアピールしてほしい」と求めた。

 着物を提供した真宗大谷派行勧寺の永吉琢住職(61)は「牛首紬の着物は白峰の営みや文化の象徴であり、地域の誇りだ」と強調。注目が高まることに願いを込めた。

  ●羽田空港から出発

 田村市長らは4日、ユネスコの国際会議に出席するため、羽田空港からモロッコに向けて出発した。

 一行は会議に先立ち、6日に開かれるアジア太平洋ジオパークネットワークの会合にも出席する。帰国は11日の予定。北國新聞社白山支社の古府(ふるこ)拓也記者が同行、取材する。

 ★牛首紬 白山市白峰周辺で800年以上前から作られている。2匹の蚕が作った1つの繭玉「玉繭」から昔ながらの手法で糸を紡いで織り上げる。できた生地は体になじむ着やすさで、通気性がよいなどの特長がある。

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